2024.7.27

光る君へ
町田啓太×塩野瑛久

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「知性あふれる公任(町田啓太)が最高」「一条天皇(塩野瑛久)はハマりすぎ」等々……、大河ドラマ『光る君へ』で世間を湧かせている、町田&塩野の初ツーショットインタビューが実現した。互いの印象から大河ドラマの現場ならではの“あるある”エピソード、さらに今後の見どころまで、ここでしか聞けない貴重なトーク満載。「しっかり話したのは今日が初めて」というふたりのレアな掛け合いも注目だ。

「EXILE TRIBE MAGAZINE」では、初のツーショット撮影&インタビューになります。


町田啓太(以下町田):というか人生初のツーショットじゃない?

塩野瑛久(以下塩野):『PRINCE OF LEGEND』のときに、一緒にインタビューを受けた気がします。

町田:そうだっけ? 記憶が消えちゃってる(笑)。こうやってふたりでしっかり話すのはほぼ初めてだよね。大河(ドラマ)の現場で少しは話すけど。

塩野:撮影中は御簾の外と中だから、目線が合うことすらないですもんね(笑)。

お互いの印象は?


町田:帝(みかど)(笑)。

塩野:(笑)

町田:普通に俳優として活躍されているというイメージだけど、あとは何でLDHに入ってきたんだろうなって。

塩野:よく言われます(笑)。

町田:体育会系の軍団に入ってきて、塩野くん、大丈夫かなって心配です、先輩として(笑)。僕もLDHっぽくないって言われるけど、塩野くんはもっと“ぽくない”じゃないですか。猛獣たちの中に舞い浮かんだ仔羊のようなイメージです(笑)。

塩野:僕は町田さんのことが、お芝居含めずっと好きで……。

町田:あとで飴ちゃんあげるね(笑)。

塩野:いや、だってそれこそ『PRINCE OF LEGEND』の共演者の中で「誰が自分の推し王子か」という話になったときも、僕は「町田さんがカッコいい」ってずっと言っていました。そしたら町田さんも映画『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』のイベントでビデオメッセージをくれたんです。

町田:あ、それは覚えてる! ちゃんとした絡みはそのビデオメッセージが最初かも。

塩野:そうです。とにかく僕はほかでも「町田啓太の顔になりたい」とずっと言っていましたから(笑)。

町田:僕、20代前半から、35歳以上に見られていたんだけど、そういう顔になりたいの?(笑)

塩野:(笑) そんなですか?

町田:ようやく今、年齢と見た目が追いついてきたというか。小学生のころも身長が170㎝ぐらいあったから、高校生に見られていて、ランドセル背負っていると違和感しかない。だから電車に乗るときに子ども料金の切符を買って行こうとすると毎回駅員さんに止められて……そういう顔になりたいってこと?

塩野:(笑) いやもう、いくつに見えるとか全然関係なく、カッコいいんです。まず印象が強いし、正統派で短髪も長い髪も何でも似合う。それって僕にはない部分だからうらやましいです。

町田:飴ちゃんじゃ足りないな(笑)。そんなこと言ったら僕もたとえばトニー・レオンさんになりたいとかありますよね。ダボダボの白ブリーフ一丁でもあんなにカッコいい人はいない。

映画『恋する惑星』ですね。懐かしい。


町田:それです。やっぱり人間はないものねだりする生き物で、俳優だとさらに自分が持っていないもの、「この人のこの部分がいいな」って余計思ってしまうところがあるかもしれない。

塩野:わかります。僕、佐藤寛太もうらやましいですもん。

町田:タイプがまったく違うよね。

塩野:寛太は目もぱっちりしていて男らしい印象があって、たぶん映画人ってああいう顔が好きなんです。あとは柳楽優弥さんや村上虹郎さんや神尾楓珠くんとか、ああいう男の人が憧れる顔立ちって映画向きだと個人的には思うんですよね。

「映像(え)が持つ」ってやつですか?


町田:それを言うなら、受ける印象が違うだけで塩野くんも全然“持つ”よ。ただ、さっき言ったようにないものねだりをするのはわかる。自分にしか表現できない雰囲気があるのはわかっているけど、自分とは違うものを持っている人を見ると、やっぱうらやましくなってしまうよね。

そういう意味では、まさに大河ドラマのおふたりは「自分にしか表現できない」役を演じていらっしゃる。町田さん以外の藤原公任も、塩野さん以外の一条天皇も想像がつきません。


町田:でも、いちばんぴったりなのは斉信役の金田(哲)さんだと思いますよ。

塩野:間違いないです。

町田:キャスティングした人は天才かと思いました。

同じく芸人さんだと、実資役の秋山竜次さんはどうですか?


町田:秋山さんも、あの時代、本当にこんな人がいたんじゃないかと思うくらい合っています。しかも一歩ズレたらコントになりがちだけど、そうならないギリギリのところをちゃんと狙ってらっしゃるから、メチャクチャおもしろいんですよ。

塩野:わかるわー。

町田:だから、逆に絡みたくないです。笑っちゃいそうで(笑)。でも、それぐらい皆さん、適材適所で見事に分かれていますよね。

所作の練習とかもしっかりされたそうですね。


町田:着物は左前で着る、御簾をくぐるときの頭の高さはどれくらいかと、決まりごとや押さえておくべきポイントはありますね。僕ら現代人がやるから固い場面ばかりじゃない。特に僕の場合は政権争いに巻き込まれていく前の10代から始まっているので、ある程度は現代っぽくして、やりすぎたら注意してもらうなど、現場で実際にやりながら作っています。

話し言葉も意外と現代っぽいですしね。


町田:特に若いころの公任を含めた幼馴染同士のやりとりは現代口語が多い。そこはおそらく脚本の大石(静)さんの狙いでもあり、公任たちの関係性を表現するにはテンポ感がいいほうがおもしろいだろうなと思ったので、僕も話すペースはあまり気にせず演じるようにしました。

塩野:僕も所作は、そこまで多く練習しなかったです。というのも、僕が演じる役は自分より位が上の人がいないので、たとえば顔を下に向けたまま下がるとか、そういう所作がない。しゃべり口調は「周りと時間の流れが違うような雰囲気で」と言われましたが、それ以外は天皇らしい振る舞いを意識するだけで良かったので意外と楽でした。

では、あの“天上人の別格感”はどのように?


塩野:むしろ最初は“別格感”が出ないようにしました。子役の子から始まるので、成長して僕に変わったとき、いきなり帝っぽさを出すのはおかしい。なので、人としての未熟さを残しつつ、成長していくごとに帝としての自覚を感じられたらいいなと思いながら、演じるようにしています。

町田:(塩野の)帝は本当にぴったりですよね。今「未熟さを残す」って言っていたけど、未熟であるがゆえの迷いや帝の人間らしさがすごく出ていて、台本で読んだ一条天皇のイメージそのまま。みんなも「本当にいいよね」って言ってますよ。

塩野:ありがたいです。

町田:やっぱり組織ってトップの人によるじゃないですか。塩野くんは帝の弱い部分を持ちながらやっているから、道長たちが映えるし、バランスも良くなる。僕はそんなに帝に絡んでないけど、見ながらそう感じています。

塩野:町田さんも僕から見ると、役との馴染み方がすごいです。特に幼馴染の4人(藤原公任、藤原道長、藤原行成、藤原斉信)の雰囲気やそれぞれに対する想い、何より道長への信頼感はちょっとした目線の交わし方ひとつひとつを取っても伝わってくる。今後、位が上がっていくにつれて、みんながどうなっていくのか楽しみです。

町田:帝にそう思ってもらえないと困りますから(笑)。ちなみに道長含めた幼馴染の4人が“F4”って言われていますが、これと一条天皇を支える四納言(しなごん)はまったく別で、ここに道長は入っていないんですよ。四納言は道長を抜いた残り3人と本田大輔さん演じる源俊賢の4人でこっちは史実的にも有名なのですが、F4と混合されている方が結構いらっしゃるんですよね。

塩野:取材で取り上げられて、F4がフィーチャーされちゃったんですよね。

町田:もっと言うと、四納言は道長の側近だと思われがちですが、あくまで一条朝の四納言。帝の側近です。

塩野:だから今後は、一条天皇が道長を通して四納言とどう絡んでいくのかも見どころになっていくと思います。

“F4”と四納言の違いがよくわかりました。でも、どちらも公任がいるだけで、すごく安心感があります。


塩野:本当にそうなんです。公任のビシッと言ったひと言で場が締まったり、「確かにその意見はあるよな」と感じさせる存在なんですよね。

そう考えると知性の公任、品格の一条天皇という印象があり、おふたりが演じているからこそ、そこがより際立っている気がします。


町田:僕は体育会系で生きてきた人間なのですが、知性を感じていただけたとしたら、この風貌に生んでくれた親に感謝です(笑)。

塩野:自分の中に潜む体育会系の部分って感じます? 今まで生きてきて「この部分は確かに体育会系だな」みたいな。

町田:めちゃめちゃありますよ。

塩野:上下関係が厳しいとか?

町田:とりあえず、先輩はどんなに親しくなっても敬語で通す。それこそ(八木)将康さんは僕より年上だから敬語で話しますが、将康さんは将康さんであとから事務所に入ってきたから僕に敬語なんです。ふたりとも体育会系だから、どんなに仲良くなっても、そこを外せない。一緒にご飯を食べに行っても、めちゃめちゃ仲がいいのにお互い敬語だから、店員さんが「どういう関係?」って顔をしているときもあって。でも敬語で始まっているから、永遠に外せないんですよね。

塩野:なるほどなぁ。

“体育会系あるある”ですね。ちなみに大河ドラマもNHKならではの撮影ルールがあるって聞きますけど、ほかの局のドラマと大河ドラマの違う点はどんなところですか?


町田:まずリハーサルがある。ほかの局のドラマは現場でちょっと合わせてそのまま本番ということも結構ありますが、NHKは大河も朝ドラも絶対リハーサル日があります。

塩野:それは当日の撮影を円滑にするためですし、カット割りをちゃんと決めるためでもあって、いわばすり合わせの場ですよね。

町田:ただ現場に慣れていると「リハは別にいらない」という人もいるから、どっちがいいかは人によるかもしれない。僕はリハがあるほうがやりやすいけど。

塩野:僕もリハは好きです。それが作品のクオリティにつながるなら、絶対に必要な行程かなと思います。

あと大河ドラマといえば、やはり観ている層が広い点がほかのドラマとの違いですよね。しかも『光る君へ』は若い女性の視聴者が多いそうですが。


町田:今回は合戦シーンが多い戦国モノとは違って時代は平安、主人公は紫式部ですからね。今までの大河とは違うところを観てくれている人が多いんじゃないかなという印象です。

塩野:戦国モノだと合戦での死にざまが劇的なぶん、ほかの場面は平坦に描かれる印象があるじゃないですか。でも今回は基本的に穏やかなので、小さな事件もドラマチックな出来事になる。たとえば道隆が御簾を潜って帝に話に行くだけでも当時は“事件”で、御簾の存在がどんなに大きいか、実際に入ってみてよくわかりました。

御簾の奥にいる帝ならではの感覚ですね。


塩野:そういうちょっとしたシーンでも刺激が生まれるところが、今作の肝であり、作品全体の雰囲気を作っているんだと思います。

町田:あとはやっぱりおもしろいのは複雑な人間模様。そこは大石先生の得意とするところだと思うので、今後はどう入り組んでいくのか楽しみにしていてほしいです。

塩野:僕自身、台本をいただくたびに「次はどうなるんだろう」って楽しみ。一条天皇に関して言うと定子への想いもそうだけど、彰子とどう距離を縮めていくのかも気になるし、それが朝廷や政(まつりごと)にどう影響していくのかも見どころになるのかなと。道長の描き方も一般的なイメージとはまた違う印象になっていると思うので、彼がどのような道を経て変わっていくのかぜひ観ていただきたいです。

町田:そもそも、まだまひろが“『源氏物語』”を書き始めていないですからね(笑)(※取材時は6月)。そこにいたるまでの物語もすごくおもしろいし、今作は時代劇のハードルが高い人も入りやすい作品だと勝手に思っていて。人間関係の緻密さはもちろん、時代考証についても本当にいろんな先生方の知恵や知識が詰まっているから、細かい時代背景を見るのも楽しいと思います。あとはこの物語はどこが結末になるのか、そこも大いに気になるところで。

確かに結末が読めない題材ですよね。


塩野:実は僕らもまだ結末を知らないんです。

町田:だから、本当に最後の最後までワクワクしながら観られると思います。

DRAMA information
大河ドラマ『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演/吉高由里子、柄本佑、黒木華、吉田羊、高畑充希、町田啓太、ファーストサマーウイカ、秋山竜次、塩野瑛久、渡辺大知、三浦翔平、高杉真宙、竜星涼、上地雄輔、瀧内公美、金田哲、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗
作/大石静
音楽/冬野ユミ
語り/伊東敏恵アナウンサー
制作統括/内田ゆき、松園武大
プロデューサー/大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー/川口俊介
演出/中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう ほか

photography_彦坂栄治(まきうらオフィス)
styling_石川英治(tablerockstudio)
hair&make_KOHEY(HAKU)
text_若松正子

【衣装クレジット】
町田啓太_《ゼニア》のジャケット¥491,000、ニット¥235,000、パンツ¥275,000、シューズ¥125,000 (すべてゼニア カスタマーサービス)

【お問い合わせ先】
ゼニア カスタマーサービス
03-5144-5300
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