そして3組目のTHE JET BOY BANGERZは、ヴォーカルの宇原雄飛が「TJBBのショーケース、Are you ready!?」と煽り、名刺代わりのデビュー曲「Jettinʼ」を披露。宇原、エイロン、石川晃多というバリエーション豊かな3ヴォーカルもさることながら、アウトロではパフォーマー全員がDリーガーとしても活躍するTJBBならではの、アクロバットを交えたテクニカルなダンスパートで圧倒する。2024年1月31日にリリースしたEP『PHOTOGENIC』のリード曲も、シャッターを切るようなキャッチーな手振りで観客を巻き込み、リリース前と思えないほどの熱狂を生み出した。
なお、2日目はJr.EXILEによる前哨戦に続く形で、NEO EXILEの4組が登場。そのトップバッターは、『iCON Z』第一章でグランプリを獲得した6人組グループ・LIL LEAGUEが務めた。前日の12月30日に『第65回 輝く! 日本レコード大賞』で新人賞を受賞した彼らにとっては、凱旋ライヴのようなステージ。余裕たっぷりの仕草でカメラにフレームインした岡尾真虎を筆頭に、メンバーたちが大人びた表情を浮かべながらステージに歩み出すと、炎を背負いながら『LIL LEAGUE LIVE TOUR 2023 “LIL GATEWAY”』のタイトル曲「GATEWAY」で新たなLIL LEAGUEを見せた。曲中に百田隼麻が「行くぞ、『EXPO』~!」とシャウトすると、大きな歓声が上がる。リーダーの岩城星那が「僕たちの始まりの曲です。知っている方は一緒に歌って踊って、一緒に楽しんでいきましょう!」と呼びかけた「Rollah Coaster」では、10代らしい無邪気な“LIL SMILE”も見せつつも、まっすぐに夢を見据える6人の瞳がいつになく真剣だった。
そのステージに続くのは、Jr.EXILEの仲間であり、ダンス好きの同志であるBALLISTIK BOYZとFANTASTICS。BALLISTIK BOYZは花道を通ってステージに歩み寄ると、低音ラップが囁く“誘惑”と、透明感あふれるヴォーカルで貫く“信念”の掛け合いで、2023年5月にリリースした「Ding Ding Dong」を表現。2023年に開催したホールツアー『BALLISTIK BOYZ LIVE TOUR 2023 "N.E.X.T. "』のセットリストをなぞったメドレーも飛び出し、メンバーたちは笑顔で駆け抜けた。MCでは、松井利樹が2024年のライヴツアー『BALLISTIK BOYZ LIVE TOUR 2024 "HIGHER EX"』について「本当はもっと規模を上げてツアーをやりたいと言っていたんですけど、その目標がかなえられなくて、正直悔しい想いがあります」と吐露する場面も。それでも悔しさをバネに、生バンドをつけてさらにパワーアップした自分たちを見せることを誓い、メンバーで作詞作曲したミディアムバラード「N.E.X.T.」を届けると、等身大のリリックが観客の胸を打った。
入れ違いに登場したFANTASTICSは、2023年に初の単独アリーナ公演を実現し、2024年には待望のアリーナツアー『FANTASTICS LIVE TOUR 2024 "INTERSTELLATIC FANTASTIC"』を開催。彼らのパートは“HOP STEP JUMP”と駆け上がり、花開いた1年を表すように「PANORAMA JET」からスタートした。FANTASTICSも結成からの道のりを振り返れば、多くの苦難を乗り越えてきたグループだが、メンバー全員でジャンプを繰り返す姿は楽しそうである。リーダーふたり(世界・佐藤大樹)や夏夏コンビ(澤本夏輝・堀夏喜)のペアダンス、最年少組(中島颯太・木村慧人)や“ゆせれや”(八木勇征・瀬口黎弥)が寄り添う姿もあり、観客を大いに喜ばせると、また「Tell Me」では、八木がチラ見せしたセクシーな肩に黄色い声が。アルバム『FANTASTIC ROCKET』のリード曲「STARBOYS」も、澤本のしなやかな身のこなしが目を惹く冒頭のダンスや、世界をセンターにしたパフォーマー6人でのダンスパートなど、見どころ満載で届けられた。
そんな各グループが誇るパフォーマーが顔を揃えたのが、本編中盤に開幕した“SPECIAL TEAM BATTLE”。THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZ、THE JET BOY BANGERZのパフォーマーに加えて、メンバー全員が世界大会でのチャンピオンタイトル保持者という新生RAG POUNDも参戦し、白熱したバトルを繰り広げた。強者揃いのステージで先陣を切ったのは、THE RAMPAGEの与那嶺瑠唯。鈴木昂秀・龍の幼馴染みペアも加勢し、大所帯ならではの迫力で相手を威圧する。対するFANTASTICSのトップバッターは、EXILEを兼任するリーダー・佐藤大樹。THE RAMPAGE藤原樹がタンクトップから腹筋を見せつけて挑発すると、FANTASTICS瀬口黎弥はワイルドにタンクトップを破り捨てた。また、BALLISTIK BOYZの砂田将宏・深堀未来がブレイクダンスで煽れば、THE JET BOY BANGERZからは、不敵な笑みを浮かべるリーダー・田中彰とアクロバット担当の佐藤蒼虎が応戦。職人気質のクランプ集団RAG POUNDとTHE RAMPAGEのクランパーである長谷川慎・武知海青のバトルや、“ダンスの申し子”ことFANTASTICSのリーダー・世界を返り討ちにするべく、THE RAMPAGEからはリーダーである陣・LIKIYAとグループのブレイン・山本彰吾を送り込んできたところなども、実にドラマティックだった。
初日公演では、最終的に肩を並べて踊り、大団円となったダンスバトルの次の瞬間、カメラがステージの舞台下を映し出す。そこに待機していたのはなんと、出演が明かされていなかったGENERATIONSの片寄涼太。バトルを終えて舞台裏に降りてきたメンバーを次々に捕まえては気さくに声をかけていく彼に、後輩たちはタジタジ。最後は“陣先輩”ことTHE RAMPAGEの陣によってステージに送り出され、2023年に自身が出演したドラマ『推しが上司になりまして』のオープニング曲「Dance the life away」を披露した。直前のステージで関口メンディーと中務裕太が「涼太、見てる!?」と呼びかけながら、同ドラマの主題歌である鈴木愛理の楽曲「最強の推し!」を踊ったのは、ここにつながる伏線だったようだ。
そして片寄涼太といえば、2024年1月に行った戦国時代活劇『HIGH&LOW THE 戦国』の主演。長年の王子様キャラが定着していた片寄からは想像できない「行くぞ、てめぇら!」の叫びから、DOBERMAN INFINITYも加わり、本邦初披露となる同作の主題歌・須和国テーマソング「NO FEAR NO MORE」に突入すると、客席は興奮で大きく波打った。
さらに『HiGH&LOW THE 戦国』からは、THE RAMPAGEのヴォーカル RIKUとヒップホップユニット・MA55IVE THE RAMPAGEによる新曲「INFERNO」も、RAG POUNDとのコラボパフォーマンスで初披露。RIKUの燃えたぎるヴォーカルと、MA55IVEメンバーたちの縦横無尽に駆け回るラップが、誰もまだ見たことのない『HiGH&LOW』の世界に手招きした。その余韻の中、MA55IVEはオリジナル曲「INVADERZ」「Determined」で畳みかける。
気付けば、すでに40曲以上の楽曲が披露されており、早くも開演から3時間が経過していた。だが、まだまだライヴは終わらない。クライマックスに向かう重要なポイントを任されたのは、LDH随一のお祭り男たち、DOBERMAN INFINITYだ。SWAYが「全員、手のひら見せてくれ!」と叫ぶと、5人は「SO RICH」を投下。“現代のHiGH&LOW”で鬼邪高校のテーマとなっている「JUMP AROUND ∞」も人気が高く、彼らの音楽が多次元の『HiGH&LOW』をつなぐ存在となっていた。
新旧の楽曲を織り交ぜて駆け抜けたブロックの後半には、DOBERMAN INFINITYがBALLISTIK BOYZを呼び込み、2組で「SAY YEAH!!」を歌唱。BALLISTIK BOYZがデビュー前からカバーし、DOBERMAN INFINITYが楽曲提供を行うなど、親密な関係値の彼らによる“〈めちゃやべぇ!!〉コラボ”が実現した。「DOBERMAN INFINITYは2024年に10周年を迎えます。おれらと一緒に遊んでください!」と呼びかけて5周年の節目に発表した「We are the one」を歌うと、P-CHOの煽りに応えるように大合唱が充満する。DOBERMAN INFINITYの中では末っ子として愛されているヴォーカル KAZUKIも、2023年からは林和希としてソロ活動を本格的にスタート。2024年2月にソロシングル『東京』のリリースと、初のソロツアー『林 和希 LIVE TOUR 2024 "I"』の開催を控えている中、ステージ中央でソロ曲「Wow」を歌い上げ、このブロックの幕を降ろした。
2日目の公演では、パフォーマーダンスバトルと、そのあとに控えるTHE RAMPAGEブロックの間にTAKA、YUICHIRO、KEISEIから成るヴォーカル&コーラスグループ・DEEPが登場した。繊細なピアノが奏で始めたのは、後輩たちに受け継がれている名バラード「SORA〜この声が届くまで〜」。メンバーが「この曲を知ってる方は一緒に歌ってください!」と呼びかけると、大合唱が会場を包み込み、続く「君じゃない誰かなんて〜Tejina〜」ではYUICHIROの圧巻のロングトーンに温かな拍手が。その感動的な光景を眺めながら、リーダーのTAKAは「こんなに拍手をいただけるとは……ありがとうございます!」、KEISEIも「泣きそうになりました、マジで!」と興奮冷めやらぬ様子で語った。
さらにDEEP名義としては5年ぶりのリリースとなる新曲「Darlin'」を初披露。DEEP SQUADとしても活動するWOLF HOWL HARMONY のSUZUKIとRYOJI、THE JET BOY BANGERZ の宇原雄飛を呼び込むと、「Get With You」を歌い、観客は久しぶりに生で届けられた6人のハーモニーを堪能した。
満を持して再登場したTHE RAMPAGEは、2023年に開催したアリーナツアー『THE RAMPAGE LIVE TOUR 2023 "16"』のセットリストを引っ提げて、ステージを自分たちの色に染めていく。1曲目は、ツアーでもオープニングを飾った「16BOOSTERZ」。緩急をつけながらも次々に形を変える構成で、ますます加速していくTHE RAMPAGEの意気込みを伝える。2023年に新たに生まれたパーティチューン「ROLL UP」や、ラテン調の「Fandango」「LA FIESTA」も今では彼らのライヴに欠かせない楽曲に育っており、じゃれ合いながら「WELCOME 2 PARADISE」を踊る16人の姿に心躍らせたRAVERSも多いことだろう。結成10周年を迎える2024年には、初のベストアルバム『“16SOUL” & “16PRAY”』をリリースするほか、アリーナツアー『THE RAMPAGE LIVE TOUR 2024 "CyberHelix" RX-16』と『THE RAMPAGE OFFICIAL FAN CLUB EVENT 2024 "THE RAVERS DAY"』の開催も控えているTHE RAMPAGE。年々個人活動が盛んになっている彼らだが、2023年に引き続き、2024年も16人揃って全国各地で大暴れしてくれそうだ。
最後は「24karats」メドレーを熱唱。各グループそれぞれの衣装を身に纏い、大晦日の夜にはEXILE THE SECONDがサプライズ出演し、MA55IVE&川村壱馬のラップパートが加わった新アレンジの「24karats STAY GOLD」(EXILE THE SECOND/THE RAMPAGE)、「24karats TRIBE OF GOLD」(EXILE THE SECOND/THE RAMPAGE/FANTASTICS/BALLISTIK BOYZ)、「24WORLD」(EXILE THE SECOND/THE RAMPAGE/FANTASTICS/BALLISTIK BOYZ/LIL LEAGUE/KID PHENOMENON/THE JET BOY BANGERZ/WOLF HOWL HARMONY)というキャスティングで、賑やかにエンディングを迎えた。
EXILE THE SECONDもほかのグループと同様、6年ぶりのアリーナツアー『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 "THE FAR EAST COWBOYZ"』の開催など、2024年も精力的に活動していくことを発表しており、この日のステージでも後輩たちを引き連れてアグレッシブなダンスを展開した。とはいえ、座長が締めるのが、次世代にEXILE魂を受け継いできたLDHの長年のスタイル。今回は座長を任されたTHE RAMPAGEの川村壱馬が代表して出演アーティストを順に紹介し、LDHアーティストたちは“2024年”に向けて歩み出したのだった。
photography_松原裕之,塩崎亨