「第38回東京国際映画祭」にて観客賞を受賞した映画『金髪』。注目を集めている今作の情報解禁時の冒頭に書かれていたのは〈岩田剛典、初の教師役はダサくてイタい⁈〉という一文。インパクト&意外性のあるつかみだが、岩田扮する中学校教師・市川は本当にダサくてイタい。だが共感度抜群のキャラクターで、見終わったあとはストーリーのおもしろさも相まってたまらなく愛しくなってしまう。本人はもちろん好感度を意識して演じたわけではなく、これは“岩田剛典”という素材の新たな一面が引き出されたもの。一筋縄ではいかないその魅力をたっぷりと味わってほしい。
メチャクチャおもしろかったです。“世代間あるある”を浮き彫りにした風刺の利いた内容は共感できる部分が多いし、それをシリアスなトーンじゃなくてコメディテイストで描いているのもいい。こういう作品は意外にやったことがなかったので、主人公の市川を演じてみたいと思いました。
本当にどこにでもよくいる人だな、と。市川をひと言で表現する言葉が見当たらないけど、現代人の心の声を代弁するキャラクター像だと思いました。そんな市川目線で物語が進んでいくのでティーンエイジャーの方以外は彼に共感していただけるんじゃないですかね。
社会人になるといろんな理不尽と戦わないといけないじゃないですか。社会人ゆえの心の叫びみたいな、他人には言えないことを脳内ナレーションとしてブツブツ言っているんですけど、そこは大人の皆さんには理解してもらえるだろうし、クスッと笑えると思いますよ。
お店の前でたむろしている若者の集団に市川がそのままズンズン突っ込んでいくシーン。脚本の段階でもおもしろかったけど、撮影中は本当に笑いを我慢しながらやるくらいおもしろかったです。
ああいうのは初めてやったし、本当に意味不明な行動だなと思いながらやってました(笑)。でもそのシーン以外も現場は終始、ほんわかしていまして。坂下(雄一郎)監督が癒し系なのでギスギスする瞬間は一度もなかったですし、なんだかんだ毎日巻いて終わっていた気がします。
現場で何か言われたという記憶があまりないんですけど、白鳥(玉季)さんが演じる板緑と市川のふたりのシーンはいろいろ話しました。「校則がなぜダメなのか」というのをふたりで論議するシーンが4ヵ所ぐらいあるんですけど「正直、この作品はこの場面が要(かなめ)」とおっしゃっていて。たぶん監督的にもっとも力を入れたかったシーンでもあったし、ここが撮れたらほぼほぼ映画は大丈夫って感じだったので、丸一日かけてリハーサルをしたんです。そのとき言われたのはテンポ感。セリフの掛け合いなのでふたりとも早口で話すんですけど、市川はそこまで賢いキャラクターじゃない。逆に板緑はすごく賢くて頭の回転が速いので、負けじと言い返す市川のスピード感を大事にしながらやりました。あとこれはどのシーンもそうだけど、なるべくセリフを言っているようにはしたくなかった。この映画は説明が多く、言葉で持っていく作品でもあるから、ちょっともどかしいセリフ回しも多くて。でもそこに“準備してきた感”が出てはいけない。実際は脚本に書かれたセリフなんだけど、セリフを言っている感じに思わせたら台無しになっちゃうので、そうならないよう意識しました。
意図的にそういう顔をしようって作ったわけではなくて。脚本どおりにお芝居をした結果、そうなっていたという感じかもしれない。というのも僕、あとから見返したときは映画全体を観る目線になっているので「俺、こんな顔するんだ」とか正直よくわからないんです。自分がどう映ろうが本当にどうでもいいと思っているので、現場でモニターチェックもしない。芝居がOKと言われることがすべてで、監督がOKしたものに僕が口を挟むとことはないから、わざわざチェックする意味がないと思っちゃうんですよね。もちろん自分の芝居を試写とかで客観的に観て反省することはありますけど、この作品に関してはちゃんとできたと思っているので、あまり気になった部分はなかったです。
誰もが大人になるまでに一度は通過する悩みやズレを描いた作品ですからね。そこを笑いながら、おもしろいって思っていただけたらうれしいんですけど。
いい年の重ね方……何なんですかね? 幸せに生き続けられることじゃないですか。そのためにはときめく瞬間を大事したいと思っていて、僕自身は新しいことにチャレンジしている瞬間はときめいているなって実感します。たとえば最近だと韓国の番組(日韓合同サバイバルオーディション番組『Unpretty Rapstar:HIP HOP Princess』)に出ているんですけど、まったく日本語が通じない環境なのでそれこそ毎回挑戦。でもそういう刺激があると、気付かされることが多くて大変だけど楽しいです。
あるある、いっぱいありますよ(笑)。やっぱりシンプルに36という数字はすごく実感させられる。学生時代、自分がおじさんだと思っていた年をとっくに超えてますから。もはやおじさんでしかない。その現実との闘いでもあります。
確かにあまりないです。しないようにしているというのがあって、やりだしたらもう本当に身も心もおじさんになってしまう(笑)。そこを受け入れて生きていくって域にはまだいってないというか。俺はまだそっち側に行かないって決めている。トークとかはおじさんムーブのほうが楽しいんだけど、いつでもできるので今はまだ振り切らないことを自分の美学としてやっています。
特に誰とかはないけど、さっき言ったように挑戦してる人かな。人って年を重ねて経験値で食っていけるようになると、そこにあぐらをかいちゃうんです、どうしても。でもそんな自分に抵抗して「まだやるの?」って周りをびっくりさせるような挑戦をしている人に魅力を感じる。そんな人に憧れますし、自分もそうなりたいって思います。
MOVIE information
『金髪』
11月21日(金)より、全国公開
出演/岩⽥剛典
⽩⿃⽟季、⾨脇⻨、⼭⽥真歩、⽥村健太郎、内⽥慈
監督・脚本/坂下雄⼀郎
音楽/世武裕子
配給/クロックワークス
©2025「⾦髪」製作委員会
kinpatsumovie.com
photography_興梠真穂
styling_渡辺康裕
hair&make_下川真矢(BERYL)
text_若松正子
本作は大人になりきれない中学校教師・市川が、校則に疑問を持つ生徒たちの“金髪デモ”騒動に巻き込まれていくストーリー。脚本を読んだときの感想は?
メチャクチャおもしろかったです。“世代間あるある”を浮き彫りにした風刺の利いた内容は共感できる部分が多いし、それをシリアスなトーンじゃなくてコメディテイストで描いているのもいい。こういう作品は意外にやったことがなかったので、主人公の市川を演じてみたいと思いました。
市川は、表向きはさわやかだけど自分を客観視できないちょっとイタい中学校教師……という設定ですが、岩田さん自身の“市川評”は?
本当にどこにでもよくいる人だな、と。市川をひと言で表現する言葉が見当たらないけど、現代人の心の声を代弁するキャラクター像だと思いました。そんな市川目線で物語が進んでいくのでティーンエイジャーの方以外は彼に共感していただけるんじゃないですかね。
どこらへんが特に共感ポイントになると思いますか?
社会人になるといろんな理不尽と戦わないといけないじゃないですか。社会人ゆえの心の叫びみたいな、他人には言えないことを脳内ナレーションとしてブツブツ言っているんですけど、そこは大人の皆さんには理解してもらえるだろうし、クスッと笑えると思いますよ。
印象に残っているセリフやシーンはありますか?
お店の前でたむろしている若者の集団に市川がそのままズンズン突っ込んでいくシーン。脚本の段階でもおもしろかったけど、撮影中は本当に笑いを我慢しながらやるくらいおもしろかったです。
“あえて避けない”おじさんっていますもんね。
ああいうのは初めてやったし、本当に意味不明な行動だなと思いながらやってました(笑)。でもそのシーン以外も現場は終始、ほんわかしていまして。坂下(雄一郎)監督が癒し系なのでギスギスする瞬間は一度もなかったですし、なんだかんだ毎日巻いて終わっていた気がします。
監督から「ここは大切にしてほしい」といったアドバイスやリクエストはありましたか?
現場で何か言われたという記憶があまりないんですけど、白鳥(玉季)さんが演じる板緑と市川のふたりのシーンはいろいろ話しました。「校則がなぜダメなのか」というのをふたりで論議するシーンが4ヵ所ぐらいあるんですけど「正直、この作品はこの場面が要(かなめ)」とおっしゃっていて。たぶん監督的にもっとも力を入れたかったシーンでもあったし、ここが撮れたらほぼほぼ映画は大丈夫って感じだったので、丸一日かけてリハーサルをしたんです。そのとき言われたのはテンポ感。セリフの掛け合いなのでふたりとも早口で話すんですけど、市川はそこまで賢いキャラクターじゃない。逆に板緑はすごく賢くて頭の回転が速いので、負けじと言い返す市川のスピード感を大事にしながらやりました。あとこれはどのシーンもそうだけど、なるべくセリフを言っているようにはしたくなかった。この映画は説明が多く、言葉で持っていく作品でもあるから、ちょっともどかしいセリフ回しも多くて。でもそこに“準備してきた感”が出てはいけない。実際は脚本に書かれたセリフなんだけど、セリフを言っている感じに思わせたら台無しになっちゃうので、そうならないよう意識しました。
今回はそういったセリフ回しのほか、岩田さんの表情もポイントかなと。坂下監督も「岩田さんは笑顔が素敵。でももしあの笑顔の向こう側が空っぽだったらおもしろいと思った」とおっしゃっていて。実際、これまで見たことがない顔になっている岩田さんの表情が印象的でした。
意図的にそういう顔をしようって作ったわけではなくて。脚本どおりにお芝居をした結果、そうなっていたという感じかもしれない。というのも僕、あとから見返したときは映画全体を観る目線になっているので「俺、こんな顔するんだ」とか正直よくわからないんです。自分がどう映ろうが本当にどうでもいいと思っているので、現場でモニターチェックもしない。芝居がOKと言われることがすべてで、監督がOKしたものに僕が口を挟むとことはないから、わざわざチェックする意味がないと思っちゃうんですよね。もちろん自分の芝居を試写とかで客観的に観て反省することはありますけど、この作品に関してはちゃんとできたと思っているので、あまり気になった部分はなかったです。
観客側としては市川を通して年齢の重ね方についてちょっと考えさせられました。
誰もが大人になるまでに一度は通過する悩みやズレを描いた作品ですからね。そこを笑いながら、おもしろいって思っていただけたらうれしいんですけど。
岩田さんご自身はいい年の重ね方をするために大事にしていることはありますか?
いい年の重ね方……何なんですかね? 幸せに生き続けられることじゃないですか。そのためにはときめく瞬間を大事したいと思っていて、僕自身は新しいことにチャレンジしている瞬間はときめいているなって実感します。たとえば最近だと韓国の番組(日韓合同サバイバルオーディション番組『Unpretty Rapstar:HIP HOP Princess』)に出ているんですけど、まったく日本語が通じない環境なのでそれこそ毎回挑戦。でもそういう刺激があると、気付かされることが多くて大変だけど楽しいです。
ちなみに岩田さんは現在36歳。市川のように自分を“おじさん”と感じることはありますか?
あるある、いっぱいありますよ(笑)。やっぱりシンプルに36という数字はすごく実感させられる。学生時代、自分がおじさんだと思っていた年をとっくに超えてますから。もはやおじさんでしかない。その現実との闘いでもあります。
でも市川はオッサンっぽい咳をしたり、それこそ先ほど言っていた人を避けずに歩いたりとか無意識におじさんムーブをかましています。岩田さんはさすがにしないですよね?
確かにあまりないです。しないようにしているというのがあって、やりだしたらもう本当に身も心もおじさんになってしまう(笑)。そこを受け入れて生きていくって域にはまだいってないというか。俺はまだそっち側に行かないって決めている。トークとかはおじさんムーブのほうが楽しいんだけど、いつでもできるので今はまだ振り切らないことを自分の美学としてやっています。
岩田さんの中で「おじさんだけどカッコいい人」っていますか?
特に誰とかはないけど、さっき言ったように挑戦してる人かな。人って年を重ねて経験値で食っていけるようになると、そこにあぐらをかいちゃうんです、どうしても。でもそんな自分に抵抗して「まだやるの?」って周りをびっくりさせるような挑戦をしている人に魅力を感じる。そんな人に憧れますし、自分もそうなりたいって思います。
MOVIE information
『金髪』
11月21日(金)より、全国公開
出演/岩⽥剛典
⽩⿃⽟季、⾨脇⻨、⼭⽥真歩、⽥村健太郎、内⽥慈
監督・脚本/坂下雄⼀郎
音楽/世武裕子
配給/クロックワークス
©2025「⾦髪」製作委員会
kinpatsumovie.com
photography_興梠真穂
styling_渡辺康裕
hair&make_下川真矢(BERYL)
text_若松正子
この記事の続きは三代目 J SOUL BROTHERS FCに
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