メンバーによる楽曲プロデュース企画を皮切りに、“6大企画”を掲げて活動しているGENERATIONSが、その一環となる主催イベント『TOKYO GENERATIONS COLLECTION』(以下、“GENEコレ”)を9月7日にさいたまスーパーアリーナにて開催した。本公演は、今年20周年を迎えた史上最大級のファッションフェスタ『東京ガールズコレクション』(以下、TGC)による全面協力のもと、GENERATIONSがTGC をオマージュ&プロデュースするというもの。ファッション・⾳楽・エンターテインメントを織り交ぜながら、メンバー各々の個性を発揮した全12ステージには、事前に出演が発表されていたモデルやパフォーマーのほか、豪華なサプライズゲストも多数登場。GENERATIONSとともに、5時間半に及ぶやりたい放題な祭典を盛り上げた。
9月6日(土)に開催された『第41回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 AUTUMN/WINTER』に続き、同じ会場で行われた今回の“GENEコレ”。開演前から、メンバーがプロデュースを手がけるショップブースやフォトスポットが賑わいを見せるなか、いざ場内に足を踏み入れると、本家TGCでお馴染みのランウェイが来場者を迎えた。そして、イベントロゴを映し出した大画面を背にして、GENERATIONSが登場。ひとりずつランウェイに歩み出し、観客に挨拶すると、初のドームツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2019 "少年クロニクル"』でもオープニングを飾った「A New Chronicle」を披露。“自己紹介曲”とも言えるアップチューンが、夢のような一夜の幕開けを告げた。
12ステージの最初のブロックは、小森隼による『THE OPENING TALK』。バラエティタレントやラジオパーソナリティとして活躍し、個人でもトークライヴ『小森隼の小盛りのハナシ』を行っている“語る表現者”⼩森が、10分強のスタンダップコメディに挑戦した。TGCに関連して「なぜ、皆さんはオシャレをするのでしょうか?」と切り出すと、ステージ上で着物に早着替えをしながら、ファッションやファッションショーの歴史を語っていく。その巧みな話術と堂々たる姿の足元には、幼少期からダンス一筋だった彼が、GENERATIONSの一員として新たに切り拓いてきた道が延びている。なおかつ、後のMCで語った「改めてファッションのことを紐解きながら、メンバーがプロデュースするもののメッセージを皆さんに届くようにするにはどうすればいいかな?と、悩みに悩んで作り上げました」という言葉からは、仲間想いな人柄も感じられた。
豪華絢爛な花魁が彩った『THE OPENING TALK』から一転、白濱亜嵐がプロデュースしたのは、昭和の“粋”と“艶”を表現した『昭和コレクション STAGE』。DJとしても活躍する白濱がDJ卓にスタンバイし、「OK!昭和を彩った楽曲たちで楽しんでいきましょう!」と呼びかけると、フィンガー5の「学園天国」でヒートアップ!懐かしくも色褪せない名曲とともに、TGCから加藤ナナ・⽶澤りあ・⼤峰ユリホ・⼟⽅エミリ・那須ほほみ・本⽥紗来・りんか・希空といった人気モデルたちが、“昭和モダン”をテーマにしたファッションショーを繰り広げていく。後半には、山下達郎の「RIDE ON TIME」をネオ昭和アーティストの阪田マリン(ザ・ブラックキャンディーズ)やダンサー陣と踊る場面もあり、マルチプレイヤーの白濱らしいカラフルなステージとなっていた。
ここで、総合MCを務める⼩森と、前日のTGCに引き続き鷲⾒玲奈がステージに現れた。トップバッターを務めた小森は、観客を“何をやるかもわかっていないのに集まってくださった猛者たち”といじりつつ、客席に向けて「最高でーす!」と叫ぶ。直前のブロックを担当した白濱を呼び込んで「DJだけかと思いきや、最後踊るんかーい!(笑)」とツッコミを入れると、白濱も「『RIDE ON TIME』しちゃった!」とニッコリ。そんなメンバー同士の愉快なやりとりも、“GENEコレ“の見どころのひとつだ。
続いて「この夏、富⼠フイルムのXシリーズを片手に片寄涼太さんが切り取った風景に、朗読、歌声が重なります」と紹介されたのは、片寄涼太プロデュースの『READING PHOTOGRAPHS 〜SWEET MEMORIES〜』。30歳の節目を迎えた昨年から、ソロアーティストとしての活動にも力を入れている彼は、今年8月に初のソロアルバム『Bouquet』を発表。同作には自身で作詞した楽曲やコラムも収録されており、アルバムリリースを記念したアート展覧会『The Vase for Bouquet』も開催された。その日々のなかで磨かれた感性を丁寧に手渡すように、慣れ親しんだピアノ椅子に腰かけ、“写真”をテーマにした自作の物語を紡いでいく片寄――。その豊かな声色も、会場内のブースに展示されていた彼が撮影したという写真も、30代に突入してより深みを増している。最後に歌い上げた「SWEET MEMORIES」(松田聖子カバー)もまた、今の彼ならではの芳醇な響きが観客の心を奪っていた。
次の瞬間、片寄が残した心地よい静寂を切り裂くように、目覚ましのアラームが鳴る。佐野玲於×KELO×覆面ラッパーQiezi Maboが贈る、スーツ×ダンス×音楽の奇想天外なステージ『JAPANESE OFFICE WORKER』の始まりだ。俳優としても活躍する佐野が、社会人の心境を声のみで表現するなか、スーツに身を包んだKADOKAWA DREAMSメンバーや、TGCモデルのなかでもダンスを得意とする入江美沙希や梶原叶渚が続々と登場。男性メンバーによって、パンツ一丁の“ダメダメサラリーマン・佐野”がステージに運び込まれると、いざダンススタート。サラリーマンの日常を彷彿とさせる仕草や、彼のルーツであるダンスジャンル・KRUMPを織り交ぜたストーリー性のあるパフォーマンスを展開していく。中盤にはLDH初となるグローバルガールズグループ・SWEET REVENGEがジャケットとパンツを持って現れ、ステージ上で佐野が“スーパーサラリーマン”に早着替えする演出もあった。……と言いつつ、客席からは着替えに手間どっている様子が丸見え。そんなところも観客からは“かわいい”と好評だったようだ。
総合MCと片寄・佐野によるTALK STAGEを挟み、数原龍友プロデュースの『TGC歌謡祭 STAGE』へ。某⾳楽番組をオマージュした映像演出で、数原が生まれた平成4年の名曲たちがプレイバック!“数原さんが愛してやまない平成ソングランキング”の1位に輝いた「好きだよ。〜100回の後悔〜」と「365⽇のラブストーリー。」は、サプライズゲストのSonar Pocketとともに歌唱した。数原にとってSonar Pocketのko-daiは兄のような存在だそうで、MC中には出会ったころの思い出トークに花が咲く。また、お笑い芸人との共演が多いGENERATIONSならではの企画として、ここでは『ジェネの神様』も実施され、平成の人気お笑い番組を彩ったコウメ太夫・いつもここから・ダンディ坂野が音楽ライヴとは違う風を吹き込んだ。お笑いパートのあとには、もう1組のサプライズアーティストであるnobodyknows+も登場。実はnobodyknows+とは今回が初対面で、数原が一方的にファンだったそうだが、「Heroʼs Come Back!!」(アニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』のOPテーマ)と「ココロオドル」のコラボ歌唱で観客を熱狂に導いた。
そしてイベント前半のトリを飾ったのが、中務裕太がプロデュースしたステージ。『TGC歌謡祭 STAGRE』の豪華ゲストに圧倒されたのも束の間、『“TGY” SPECIAL SHOWCASE feat. 東京ゲゲゲイ』では、出演者たちのド派手なビジュアルに度肝を抜かれた。GENERATIONS随一の筋肉キャラである中務が大変身し、MIKEY(東京ゲゲゲイ)・AROE・MIKU・KELOとともに、20 周年を迎える架空の世界的アーティスト「TGY(TRUE GIRLS YUMMY)」として降臨したのだ。インタビュアー小森と、4人体制の「TGY」による“インタビュー風コント”で助走をつけて、15年前に脱退したオリジナルメンバー・ユネッタ(中務)が登場すると、客席からはひと際大きな歓声が上がる。初めはソファに腰かけ寛いでいる様子の「TGY」だったが、再会を祝した乾杯コールを合図にガラッと空気が変わり、真剣な表情に。キレッキレのダンスリレーに導かれるように、東京ゲゲゲイの楽曲「醜いシンデレラ」が解き放たれた。なお、同曲ではセンターでマイクを握るヴォーカル・MIKEYだけでなく、中務もラップパートを歌い、新たな一面を開花。スタンドマイクを使ったステージングが目を惹いたのは、同じく東京ゲゲゲイの「愛のフルコース」。テクニカルなソロダンスで圧倒した「Gee Gee TRAIN」で畳みかけると、強烈なインパクトと「またこの“TGY”で戻ってきます」(MIKEY)というメッセージを残し、5人はステージを後にしたのだった。
濃厚すぎる第1部を終えて、各メンバーによるプロデュースステージは折り返し地点を迎えた。第2部の先陣を切ったのは、フットワークに定評のあるパフォーマー・小森による『TAP INTO STORY STAGE』。安達雄基・gash!(Beat Buddy Boi)・STUDIO NOTEダンサーとともに総勢30名でストーリーを描き出す、臨場感たっぷりのタップダンスショーケースである。小森曰く、自身のキッズダンサー時代を振り返り、“少年の夢”をテーマに制作したそうだが、特に印象的だったのは、GENERATIONSの「涙」(ピアノインスト)に合わせて女性ダンサーと舞ったペアダンス。笑顔のイメージが強い彼だけに、悲哀を滲ませた表情が新鮮に映った。1度目のソロステージでは言葉で観客の心を掴んでいた小森が、肉体のみで表現するというギャップも、長時間イベントだからこそ生み出されたものだろう。
数原龍友のライフスタイルをテーマに展開するブランド『NO PAIN NO GAIN』と、ファッション誌『ViVi』(講談社)がコラボレーションした『NO PAIN NO GAIN STAGE』では、ソロアーティストKAZの活動を支えるバンドチームがスタンバイし、まるでサーフィン好きな彼の家に遊びに来たような雰囲気に。心地よい波の音と、「Beautiful Sunset」「Go Your Way」「Hush hush」といったソロ曲がゆったり広がった。そんな⼣暮れのランウェイを舞台に、数原ディレクションの最新コレクションを、シークレットゲストの藤田ニコルや現役ViVi モデル(アリアナさくら・有坂⼼花・雑賀サクラ・ブリッジマン遊七・村上愛花)、後輩グループ・WOLF HOWL HARMONYのメンバーが華やかに披露。スペシャルゲストとして愛犬の殿と若がステージに呼び込まれ、7月にリリースした最新ソロシングル「Buddy」収録の「T&W」を歌唱する場面もあった。歌いながら2匹を愛おしそうに見つめる瞳や、愛犬たちが乗ったペットカートを押してノリノリで退場していく数原の後ろ姿が微笑ましい。演奏直後のTALK STAGE(総合MC・数原・藤田ニコル)も、バラエティーでの共演が多い仲良しチームというだけあってトークが弾んでいた。
さらに次のコーナーには、現在放送中の“タイムリープ不倫ドラマ”『奪い愛、真夏』(テレビ朝日系)より、主人公・海野真夏を演じた松本まりかがサプライズで登場。同作で真夏に恋する元部下・日熊元也を演じた白濱と肩を並べて、颯爽とランウェイを歩いた。だが、ストーカー役が抜けきらない白濱が熱くキスをせがむ演出は、松本にも知らされていなかったようで、突然のドッキリに大爆笑。実は白濱が15歳で初めて出演した舞台でも共演していたというふたりは、仲良し姉弟のような空気感を醸しており、松本は「まだまだ子どもだなって感じだったのに、こんなに立派になって(笑)」とコメント。音楽活動に限らず、幅広い分野で活動するGENERATIONSメンバーの人間関係や、その現場ならではの表情が垣間見える場面となっていた。
このふたりのやりとりからもわかるように、メンバーの多くが10代のころに結成されたGENERATIONSも、今では後輩育成に力を入れるなど、音楽シーンをリードする存在へと進化を遂げている。その姿勢を示したのが、後半に用意された『ARTIST LIVE』。今回のGENEコレでは、7⽉に誕⽣したばかりのLDH発のD.LEAGUEチーム LDH SCREAM、LDH初となるグローバルガールズグループ SWEET REVENGE、卓越した歌唱⼒とラップを武器に活動する新世代グループWOLF HOWL HARMONYという3組の後輩グループにステージを預けた。また、幼いころからストリートダンサーとして活動していた佐野のプロデュースステージ『Born in the street』には、新世代のトップダンサー9名(Sasya、KAZANE、KEIN、RA1ON、Killa Twiggz、FLAME、YUYA、⿓、KANU)が集結。各ジャンルのダンサーによるフリースタイルダンスが観客の興奮を煽り、ファッションショーとはひと味違う盛り上がりを見せる。だからこそ、直後に控えていた、片寄のプロデュースステージ『The Vibe from Bouquet』との緩急が際立った。
MVとリンクした大自然の映像を背にして、片寄がそっと歌い始めた1曲目は、1stソロアルバム『Bouquet』に向けて自ら書き下ろしたミディアムナンバー「朝⽇のように、夢を⾒て」。シンガーソングライターの土岐麻子が手がけた「Smoky Town Rain」、シンガーソングライターのTani Yuukiが手がけた「運命」へと続く。「Smorky Town Rain」の曲中には、ランウェイを歩きながら歌う片寄の頭上をフライングハートが舞った。「ソロでは、多くのアーティストと一緒に作品を制作していきたい」と常々語っている彼だが、それは楽曲に留まらず、このフライングハートも、「感覚の蘇生」をテーマに香りと音を芸術表現に用いるアーティスト・和泉侃がプロデュースした“香り”をプレゼントするためのロマンティックな仕掛けだという。「運命」の歌唱時には、佐藤充がアルバム『Bouquet』から着想を得て描いた絵画もスクリーンに映し出され、さまざまな角度から感性を刺激する新感覚のライヴ体験を届けた。
しかし、いい意味で綺麗にまとまらないのが、GENERATIONSのおもしろいところ。幕間のTALK STAGE(総合MC・片寄・佐野)に登場したメンバーたちは、次のブロックへの期待が抑えきれない様子で笑みを浮かべる。――そう、筋肉自慢の中務がアパレルブランドLYFT と贈る、マッスル×ランウェイの新境地『MUSCLE COLLECTION STAGE』の時間がやってきたのだ。ステージ上に本格的なトレーニング機材が設置してあることだけでもかなり新鮮なのだが、LYFT提供のウェアを着用したマッスルモデルたち(Ayaka・KIKI・KOKI・KC from RAG POUND・SHIHO・YUSHI・KANG YUNO)は、美しい姿勢で筋トレをしたり、ポージングを取りながらランウェイを歩き、観客を新たな世界へ誘う。そこに満を持して登場した中務は、王者のような風格を醸していた。でも、少しの筋トレで早くもエネルギー切れを起こし、うなだれてしまう。それを見かねて駆けつけたのが、筋肉芸人・なかやまきんに君。彼が観客とともに“筋肉三々七拍子”でエールを送ると、みんなのおかげで力が漲った中務は、片腕24kgのダンベル×2を10回高く突き上げてフィニッシュ!マッチョ2人によるキメポーズ「やぁーーー!」が、ツッコミ不在のコントを締め括るように響き渡った。
3時間に渡って駆け抜けたソロプロデュースステージの最後は、『UMBRO STADIUM STAGE feat.PKCZ®』。このブロックでは、白濱がファンだというフットボールアパレルブランドUMBROと、白濱がフロントマンを務めるクリエイティブユニット・PKCZ®のコラボレーションが実現した。EXILE MAKIDAIが「みんなでひとつになっていきましょう!」と呼びかけると、3人はライヴアンセム「PLAY THAT'24(ALAN ver.)」で、イベント会場を彼らのホームであるクラブに塗り替えていく。と同時に、ランウェイはサッカースタジアムをイメージしたライティングとなっており、UNBRO HOUSEのアンバサダーを務めている女優・⼭本舞⾹がモデルとしてサプライズ登場。フリースタイルフットボーラー(AKI、Ibuki、うづら、Ko-suke、SYUNYA、Daikichi、D.I.L、Yu-to、Yu-ri、Leon)の見事な足捌きも通常のライヴでは見られない光景で、さまざまなコンセプトのグループが所属するLDHのなかでも、ジャンルの垣根を超えるのが得意なPKCZ®ならではの化学反応が起こっていた。
そして、再び6人揃ってステージへ。GENERATIONSによる『ARTIST LIVE』でラストスパートをかけた。1曲目の「AGEHA」は、両手を翼のように広げる振りがキャッチーなダンスチューン。「BIG CITY RODEO」や「ヒラヒラ」、「Y.M.C.A.」も、長年歌い続けている人気曲たちだ。その一方で、今年2月より6ヵ月連続でリリースしてきた、メンバーによる楽曲プロデュース企画『PRODUCE 6IX COLORS』からも「Two Steps Back」(白濱亜嵐プロデュース曲)と「MY GENERATION」(小森隼プロデュース曲)を披露。1stアルバムに収録されている「to the STAGE」で大勢の観客とタオルを回し、楽しさをわかち合う姿も眩しく、時には全力でふざけながらも、歌・ダンス・DREAMERSと真摯に向き合ってきたGENERATIONSの歴史を実感した。とはいえ、メンバーだけでここまで進んできたのではなく、もちろん、長い道のりにはたくさんの仲間の存在があった。その1組が、同じ時代を駆け抜けてきたDa-iCE。サプライズゲストのDa-iCEが「スターマイン」「ノンフィクションズ」を歌唱した後、2組による初のコラボ曲「Grounds」も初披露された。同曲は、かねてより交流があったDa-iCE ⼯藤⼤輝と⽩濱のふたりで作詞作曲を担当。2024年に開催された『a-nation 2024』でのコラボパフォーマンスをきっかけに作り始めたという楽曲に、Da-iCE和田颯と中務が振りをつけ、4ヴォーカル・7パフォーマーの総勢11名によるパフォーマンスが完成した。順⾵満帆ではない⽉⽇を重ねてきた2組が、今、ともに大きなステージに立っているという事実が、曲が持つメッセージをより鮮やかに心に刻んでいく。共通点が多い2組だが、終演時間が差し迫ってもなお、マシンガントークが止まらないところもソックリだ。
そんな事情もあり、少し駆け足で突入したグランドフィナーレを飾ったのは、約35mのランウェイを利⽤したオールキャストによる「Choo Choo TRAIN」!出演者たちが続々と退場していくなか、最後に上裸で両腕を突き上げた中務のビッグスマイルが、『TOKYO GENERATIONS COLLECTION』の大成功を物語っていた。
9月6日(土)に開催された『第41回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 AUTUMN/WINTER』に続き、同じ会場で行われた今回の“GENEコレ”。開演前から、メンバーがプロデュースを手がけるショップブースやフォトスポットが賑わいを見せるなか、いざ場内に足を踏み入れると、本家TGCでお馴染みのランウェイが来場者を迎えた。そして、イベントロゴを映し出した大画面を背にして、GENERATIONSが登場。ひとりずつランウェイに歩み出し、観客に挨拶すると、初のドームツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2019 "少年クロニクル"』でもオープニングを飾った「A New Chronicle」を披露。“自己紹介曲”とも言えるアップチューンが、夢のような一夜の幕開けを告げた。
12ステージの最初のブロックは、小森隼による『THE OPENING TALK』。バラエティタレントやラジオパーソナリティとして活躍し、個人でもトークライヴ『小森隼の小盛りのハナシ』を行っている“語る表現者”⼩森が、10分強のスタンダップコメディに挑戦した。TGCに関連して「なぜ、皆さんはオシャレをするのでしょうか?」と切り出すと、ステージ上で着物に早着替えをしながら、ファッションやファッションショーの歴史を語っていく。その巧みな話術と堂々たる姿の足元には、幼少期からダンス一筋だった彼が、GENERATIONSの一員として新たに切り拓いてきた道が延びている。なおかつ、後のMCで語った「改めてファッションのことを紐解きながら、メンバーがプロデュースするもののメッセージを皆さんに届くようにするにはどうすればいいかな?と、悩みに悩んで作り上げました」という言葉からは、仲間想いな人柄も感じられた。
豪華絢爛な花魁が彩った『THE OPENING TALK』から一転、白濱亜嵐がプロデュースしたのは、昭和の“粋”と“艶”を表現した『昭和コレクション STAGE』。DJとしても活躍する白濱がDJ卓にスタンバイし、「OK!昭和を彩った楽曲たちで楽しんでいきましょう!」と呼びかけると、フィンガー5の「学園天国」でヒートアップ!懐かしくも色褪せない名曲とともに、TGCから加藤ナナ・⽶澤りあ・⼤峰ユリホ・⼟⽅エミリ・那須ほほみ・本⽥紗来・りんか・希空といった人気モデルたちが、“昭和モダン”をテーマにしたファッションショーを繰り広げていく。後半には、山下達郎の「RIDE ON TIME」をネオ昭和アーティストの阪田マリン(ザ・ブラックキャンディーズ)やダンサー陣と踊る場面もあり、マルチプレイヤーの白濱らしいカラフルなステージとなっていた。
ここで、総合MCを務める⼩森と、前日のTGCに引き続き鷲⾒玲奈がステージに現れた。トップバッターを務めた小森は、観客を“何をやるかもわかっていないのに集まってくださった猛者たち”といじりつつ、客席に向けて「最高でーす!」と叫ぶ。直前のブロックを担当した白濱を呼び込んで「DJだけかと思いきや、最後踊るんかーい!(笑)」とツッコミを入れると、白濱も「『RIDE ON TIME』しちゃった!」とニッコリ。そんなメンバー同士の愉快なやりとりも、“GENEコレ“の見どころのひとつだ。
続いて「この夏、富⼠フイルムのXシリーズを片手に片寄涼太さんが切り取った風景に、朗読、歌声が重なります」と紹介されたのは、片寄涼太プロデュースの『READING PHOTOGRAPHS 〜SWEET MEMORIES〜』。30歳の節目を迎えた昨年から、ソロアーティストとしての活動にも力を入れている彼は、今年8月に初のソロアルバム『Bouquet』を発表。同作には自身で作詞した楽曲やコラムも収録されており、アルバムリリースを記念したアート展覧会『The Vase for Bouquet』も開催された。その日々のなかで磨かれた感性を丁寧に手渡すように、慣れ親しんだピアノ椅子に腰かけ、“写真”をテーマにした自作の物語を紡いでいく片寄――。その豊かな声色も、会場内のブースに展示されていた彼が撮影したという写真も、30代に突入してより深みを増している。最後に歌い上げた「SWEET MEMORIES」(松田聖子カバー)もまた、今の彼ならではの芳醇な響きが観客の心を奪っていた。
次の瞬間、片寄が残した心地よい静寂を切り裂くように、目覚ましのアラームが鳴る。佐野玲於×KELO×覆面ラッパーQiezi Maboが贈る、スーツ×ダンス×音楽の奇想天外なステージ『JAPANESE OFFICE WORKER』の始まりだ。俳優としても活躍する佐野が、社会人の心境を声のみで表現するなか、スーツに身を包んだKADOKAWA DREAMSメンバーや、TGCモデルのなかでもダンスを得意とする入江美沙希や梶原叶渚が続々と登場。男性メンバーによって、パンツ一丁の“ダメダメサラリーマン・佐野”がステージに運び込まれると、いざダンススタート。サラリーマンの日常を彷彿とさせる仕草や、彼のルーツであるダンスジャンル・KRUMPを織り交ぜたストーリー性のあるパフォーマンスを展開していく。中盤にはLDH初となるグローバルガールズグループ・SWEET REVENGEがジャケットとパンツを持って現れ、ステージ上で佐野が“スーパーサラリーマン”に早着替えする演出もあった。……と言いつつ、客席からは着替えに手間どっている様子が丸見え。そんなところも観客からは“かわいい”と好評だったようだ。
総合MCと片寄・佐野によるTALK STAGEを挟み、数原龍友プロデュースの『TGC歌謡祭 STAGE』へ。某⾳楽番組をオマージュした映像演出で、数原が生まれた平成4年の名曲たちがプレイバック!“数原さんが愛してやまない平成ソングランキング”の1位に輝いた「好きだよ。〜100回の後悔〜」と「365⽇のラブストーリー。」は、サプライズゲストのSonar Pocketとともに歌唱した。数原にとってSonar Pocketのko-daiは兄のような存在だそうで、MC中には出会ったころの思い出トークに花が咲く。また、お笑い芸人との共演が多いGENERATIONSならではの企画として、ここでは『ジェネの神様』も実施され、平成の人気お笑い番組を彩ったコウメ太夫・いつもここから・ダンディ坂野が音楽ライヴとは違う風を吹き込んだ。お笑いパートのあとには、もう1組のサプライズアーティストであるnobodyknows+も登場。実はnobodyknows+とは今回が初対面で、数原が一方的にファンだったそうだが、「Heroʼs Come Back!!」(アニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』のOPテーマ)と「ココロオドル」のコラボ歌唱で観客を熱狂に導いた。
そしてイベント前半のトリを飾ったのが、中務裕太がプロデュースしたステージ。『TGC歌謡祭 STAGRE』の豪華ゲストに圧倒されたのも束の間、『“TGY” SPECIAL SHOWCASE feat. 東京ゲゲゲイ』では、出演者たちのド派手なビジュアルに度肝を抜かれた。GENERATIONS随一の筋肉キャラである中務が大変身し、MIKEY(東京ゲゲゲイ)・AROE・MIKU・KELOとともに、20 周年を迎える架空の世界的アーティスト「TGY(TRUE GIRLS YUMMY)」として降臨したのだ。インタビュアー小森と、4人体制の「TGY」による“インタビュー風コント”で助走をつけて、15年前に脱退したオリジナルメンバー・ユネッタ(中務)が登場すると、客席からはひと際大きな歓声が上がる。初めはソファに腰かけ寛いでいる様子の「TGY」だったが、再会を祝した乾杯コールを合図にガラッと空気が変わり、真剣な表情に。キレッキレのダンスリレーに導かれるように、東京ゲゲゲイの楽曲「醜いシンデレラ」が解き放たれた。なお、同曲ではセンターでマイクを握るヴォーカル・MIKEYだけでなく、中務もラップパートを歌い、新たな一面を開花。スタンドマイクを使ったステージングが目を惹いたのは、同じく東京ゲゲゲイの「愛のフルコース」。テクニカルなソロダンスで圧倒した「Gee Gee TRAIN」で畳みかけると、強烈なインパクトと「またこの“TGY”で戻ってきます」(MIKEY)というメッセージを残し、5人はステージを後にしたのだった。
濃厚すぎる第1部を終えて、各メンバーによるプロデュースステージは折り返し地点を迎えた。第2部の先陣を切ったのは、フットワークに定評のあるパフォーマー・小森による『TAP INTO STORY STAGE』。安達雄基・gash!(Beat Buddy Boi)・STUDIO NOTEダンサーとともに総勢30名でストーリーを描き出す、臨場感たっぷりのタップダンスショーケースである。小森曰く、自身のキッズダンサー時代を振り返り、“少年の夢”をテーマに制作したそうだが、特に印象的だったのは、GENERATIONSの「涙」(ピアノインスト)に合わせて女性ダンサーと舞ったペアダンス。笑顔のイメージが強い彼だけに、悲哀を滲ませた表情が新鮮に映った。1度目のソロステージでは言葉で観客の心を掴んでいた小森が、肉体のみで表現するというギャップも、長時間イベントだからこそ生み出されたものだろう。
数原龍友のライフスタイルをテーマに展開するブランド『NO PAIN NO GAIN』と、ファッション誌『ViVi』(講談社)がコラボレーションした『NO PAIN NO GAIN STAGE』では、ソロアーティストKAZの活動を支えるバンドチームがスタンバイし、まるでサーフィン好きな彼の家に遊びに来たような雰囲気に。心地よい波の音と、「Beautiful Sunset」「Go Your Way」「Hush hush」といったソロ曲がゆったり広がった。そんな⼣暮れのランウェイを舞台に、数原ディレクションの最新コレクションを、シークレットゲストの藤田ニコルや現役ViVi モデル(アリアナさくら・有坂⼼花・雑賀サクラ・ブリッジマン遊七・村上愛花)、後輩グループ・WOLF HOWL HARMONYのメンバーが華やかに披露。スペシャルゲストとして愛犬の殿と若がステージに呼び込まれ、7月にリリースした最新ソロシングル「Buddy」収録の「T&W」を歌唱する場面もあった。歌いながら2匹を愛おしそうに見つめる瞳や、愛犬たちが乗ったペットカートを押してノリノリで退場していく数原の後ろ姿が微笑ましい。演奏直後のTALK STAGE(総合MC・数原・藤田ニコル)も、バラエティーでの共演が多い仲良しチームというだけあってトークが弾んでいた。
さらに次のコーナーには、現在放送中の“タイムリープ不倫ドラマ”『奪い愛、真夏』(テレビ朝日系)より、主人公・海野真夏を演じた松本まりかがサプライズで登場。同作で真夏に恋する元部下・日熊元也を演じた白濱と肩を並べて、颯爽とランウェイを歩いた。だが、ストーカー役が抜けきらない白濱が熱くキスをせがむ演出は、松本にも知らされていなかったようで、突然のドッキリに大爆笑。実は白濱が15歳で初めて出演した舞台でも共演していたというふたりは、仲良し姉弟のような空気感を醸しており、松本は「まだまだ子どもだなって感じだったのに、こんなに立派になって(笑)」とコメント。音楽活動に限らず、幅広い分野で活動するGENERATIONSメンバーの人間関係や、その現場ならではの表情が垣間見える場面となっていた。
このふたりのやりとりからもわかるように、メンバーの多くが10代のころに結成されたGENERATIONSも、今では後輩育成に力を入れるなど、音楽シーンをリードする存在へと進化を遂げている。その姿勢を示したのが、後半に用意された『ARTIST LIVE』。今回のGENEコレでは、7⽉に誕⽣したばかりのLDH発のD.LEAGUEチーム LDH SCREAM、LDH初となるグローバルガールズグループ SWEET REVENGE、卓越した歌唱⼒とラップを武器に活動する新世代グループWOLF HOWL HARMONYという3組の後輩グループにステージを預けた。また、幼いころからストリートダンサーとして活動していた佐野のプロデュースステージ『Born in the street』には、新世代のトップダンサー9名(Sasya、KAZANE、KEIN、RA1ON、Killa Twiggz、FLAME、YUYA、⿓、KANU)が集結。各ジャンルのダンサーによるフリースタイルダンスが観客の興奮を煽り、ファッションショーとはひと味違う盛り上がりを見せる。だからこそ、直後に控えていた、片寄のプロデュースステージ『The Vibe from Bouquet』との緩急が際立った。
MVとリンクした大自然の映像を背にして、片寄がそっと歌い始めた1曲目は、1stソロアルバム『Bouquet』に向けて自ら書き下ろしたミディアムナンバー「朝⽇のように、夢を⾒て」。シンガーソングライターの土岐麻子が手がけた「Smoky Town Rain」、シンガーソングライターのTani Yuukiが手がけた「運命」へと続く。「Smorky Town Rain」の曲中には、ランウェイを歩きながら歌う片寄の頭上をフライングハートが舞った。「ソロでは、多くのアーティストと一緒に作品を制作していきたい」と常々語っている彼だが、それは楽曲に留まらず、このフライングハートも、「感覚の蘇生」をテーマに香りと音を芸術表現に用いるアーティスト・和泉侃がプロデュースした“香り”をプレゼントするためのロマンティックな仕掛けだという。「運命」の歌唱時には、佐藤充がアルバム『Bouquet』から着想を得て描いた絵画もスクリーンに映し出され、さまざまな角度から感性を刺激する新感覚のライヴ体験を届けた。
しかし、いい意味で綺麗にまとまらないのが、GENERATIONSのおもしろいところ。幕間のTALK STAGE(総合MC・片寄・佐野)に登場したメンバーたちは、次のブロックへの期待が抑えきれない様子で笑みを浮かべる。――そう、筋肉自慢の中務がアパレルブランドLYFT と贈る、マッスル×ランウェイの新境地『MUSCLE COLLECTION STAGE』の時間がやってきたのだ。ステージ上に本格的なトレーニング機材が設置してあることだけでもかなり新鮮なのだが、LYFT提供のウェアを着用したマッスルモデルたち(Ayaka・KIKI・KOKI・KC from RAG POUND・SHIHO・YUSHI・KANG YUNO)は、美しい姿勢で筋トレをしたり、ポージングを取りながらランウェイを歩き、観客を新たな世界へ誘う。そこに満を持して登場した中務は、王者のような風格を醸していた。でも、少しの筋トレで早くもエネルギー切れを起こし、うなだれてしまう。それを見かねて駆けつけたのが、筋肉芸人・なかやまきんに君。彼が観客とともに“筋肉三々七拍子”でエールを送ると、みんなのおかげで力が漲った中務は、片腕24kgのダンベル×2を10回高く突き上げてフィニッシュ!マッチョ2人によるキメポーズ「やぁーーー!」が、ツッコミ不在のコントを締め括るように響き渡った。
3時間に渡って駆け抜けたソロプロデュースステージの最後は、『UMBRO STADIUM STAGE feat.PKCZ®』。このブロックでは、白濱がファンだというフットボールアパレルブランドUMBROと、白濱がフロントマンを務めるクリエイティブユニット・PKCZ®のコラボレーションが実現した。EXILE MAKIDAIが「みんなでひとつになっていきましょう!」と呼びかけると、3人はライヴアンセム「PLAY THAT'24(ALAN ver.)」で、イベント会場を彼らのホームであるクラブに塗り替えていく。と同時に、ランウェイはサッカースタジアムをイメージしたライティングとなっており、UNBRO HOUSEのアンバサダーを務めている女優・⼭本舞⾹がモデルとしてサプライズ登場。フリースタイルフットボーラー(AKI、Ibuki、うづら、Ko-suke、SYUNYA、Daikichi、D.I.L、Yu-to、Yu-ri、Leon)の見事な足捌きも通常のライヴでは見られない光景で、さまざまなコンセプトのグループが所属するLDHのなかでも、ジャンルの垣根を超えるのが得意なPKCZ®ならではの化学反応が起こっていた。
そして、再び6人揃ってステージへ。GENERATIONSによる『ARTIST LIVE』でラストスパートをかけた。1曲目の「AGEHA」は、両手を翼のように広げる振りがキャッチーなダンスチューン。「BIG CITY RODEO」や「ヒラヒラ」、「Y.M.C.A.」も、長年歌い続けている人気曲たちだ。その一方で、今年2月より6ヵ月連続でリリースしてきた、メンバーによる楽曲プロデュース企画『PRODUCE 6IX COLORS』からも「Two Steps Back」(白濱亜嵐プロデュース曲)と「MY GENERATION」(小森隼プロデュース曲)を披露。1stアルバムに収録されている「to the STAGE」で大勢の観客とタオルを回し、楽しさをわかち合う姿も眩しく、時には全力でふざけながらも、歌・ダンス・DREAMERSと真摯に向き合ってきたGENERATIONSの歴史を実感した。とはいえ、メンバーだけでここまで進んできたのではなく、もちろん、長い道のりにはたくさんの仲間の存在があった。その1組が、同じ時代を駆け抜けてきたDa-iCE。サプライズゲストのDa-iCEが「スターマイン」「ノンフィクションズ」を歌唱した後、2組による初のコラボ曲「Grounds」も初披露された。同曲は、かねてより交流があったDa-iCE ⼯藤⼤輝と⽩濱のふたりで作詞作曲を担当。2024年に開催された『a-nation 2024』でのコラボパフォーマンスをきっかけに作り始めたという楽曲に、Da-iCE和田颯と中務が振りをつけ、4ヴォーカル・7パフォーマーの総勢11名によるパフォーマンスが完成した。順⾵満帆ではない⽉⽇を重ねてきた2組が、今、ともに大きなステージに立っているという事実が、曲が持つメッセージをより鮮やかに心に刻んでいく。共通点が多い2組だが、終演時間が差し迫ってもなお、マシンガントークが止まらないところもソックリだ。
そんな事情もあり、少し駆け足で突入したグランドフィナーレを飾ったのは、約35mのランウェイを利⽤したオールキャストによる「Choo Choo TRAIN」!出演者たちが続々と退場していくなか、最後に上裸で両腕を突き上げた中務のビッグスマイルが、『TOKYO GENERATIONS COLLECTION』の大成功を物語っていた。
この記事の続きはGENERATIONS FCに
入会中の方のみご覧いただけます。
入会中の方のみご覧いただけます。