10月から新ドラマ『終幕のロンド —もう二度と、会えないあなたに—』がスタートする。本作で塩野瑛久が演じるのは遺品整理会社のベテラン社員・矢作海斗でまっすぐで裏表のない人物像は「正直演じづらい」とのこと。だが遺品整理というテーマ性のあるストーリー、繊細で緻密な脚本は「大好物」で苦手意識のある役柄含め楽しみだったと語る。また主演を務める草彅剛さんとの初共演は今作いちばんのトピックで天才的な空気づくりのスキルを発揮する草彅さんのエピソードや現場の様子などドラマがさらに味わい深くなる話が続々。ぜひオンエア前にこの記事を読んでドラマに参戦してほしい。
優しさがあふれている脚本で語りすぎないことを大切にしている作品だなと思いました。もちろんテレビドラマなのである程度の情報は必要なのですがテーマが遺品整理なので“モノ”に残されたメッセージやそこに込められた想い、言語化されない部分にすごく着目しているのかなという印象を受けました。
説明はきっと入れていると思いますがそれがしっかりと会話になっているし、人物の言葉になっているからあまり気にならない。そこは僕の大好物な脚本でどのセリフも語り口調になっていて人間らしい部分が滲み出ているんです。僕が演じる矢作海斗という役も伝え方が下手で上手く言葉を紡げるわけではないのですが、彼の想いがしっかり伝わるような構成になっている。それもこのドラマが楽しみになるひとつの大きな要素でした。
やってこなかったわけではないのですが、これまではまっすぐではあるけど表には出さない表現をすることが多かったというか。僕自身がどんな役でも裏側を汲み取りがちで……。例えば、笑顔で話しているけど、実際は言葉とは違うことを思っているんだろうなとか裏腹な部分を捉えてしまうんです。でも海斗に関しては伝え方が下手なだけで基本思っていることと言っていることがリンクしている。なので変に裏を読まず余計なことを考えないようにしようと思っています。
いやぁ、本当に。『光る君へ』や『魔物』を経ての今回の作品で三者三様の役を演じているなという気持ちです。ただ正直海斗のような役は演じづらい(笑)。僕はストレートで裏表のない陽キャタイプの役は苦手なので、そういう意味ではちょっと苦戦するところもなきにしもあらずかなと。僕自身、根がね、そんな明るいわけじゃないので(笑)。
そうなんです。そこへきて、海斗は会社のムードメーカーという真逆のキャラですからそこをどうできるか。自分の器を超えた表現をしようとしてもたぶん変に見えてしまうと思うので、器の限界ギリギリのラインを探りながらやっていくという感じですかね。中盤になるとさらに海斗の人間味みたいなものが出てくる瞬間がたくさんあるのでそこをどう表現するか、そして観る人の目にはどんな風に映るのか僕も楽しみです。
今のところ撮影を終えているのは9話ぐらいですが撮影は1話ごとではなく結構バラバラに撮っていて。撮影に入ってからしばらくはご遺族様の前にいるシーンが多かったので、そのときはまだ海斗がどういう人物なのか描かれている部分があまりありませんでした。そこから会社内の撮影が始まり少しずつ彼のプライベートが見えてくる。今はそこを探りながらやっている段階です。
空気感がとても自然でメチャクチャいいです。草彅さんが率先して声を出してくれたり現場の士気を上げる存在でいてくださる。その一方で僕と八木莉可子ちゃんと小澤竜心くんはどちらかというとおとなしいタイプです。
ドラマ内では賑やかですが、現場ではおとなしいトリオ。撮影中は静かに絆を深め合っています(笑)。年齢的には間にいる僕がいろいろやらなきゃいけないと思いますが、そういうことも気にせずいられる現場です。
まず挨拶の声が誰よりも大きい方なんです。でも無理をされている感じではなく、周りを気にかけていらして。僕に対しても最初はグイグイくることはなくて。草彅さんもおそらく「この子はどういう話がいいんだろう」と考えてくださって無理に乗り越えてこようとしなかったのかなと思います。でもあるとき僕がちらっと古着の話をしたら、草彅さんも古着がお好きなので120%で返してくれました。あと僕がアニメ好きだと知った瞬間、話を掘り下げてくださって本当に優しい方だなと。話すきっかけを見つけようとしてくれていたんだなっていうのをすごく感じました。
それって国民的スターの方にしかできない表現だと思います。空気を見ながら周りを巻き込む力があり、要所要所で演者もスタッフも笑わせてくれる。あのスキルはさすがとしか言いようがないです。
現場によってたまに冗談を言ったりしますけど、あんなにみんなをたくさん笑わすことはできないです。草彅さんは、例えばスタッフさんが現場で「次のカットは〇〇!」「(カメラ)レール敷いて!」とか撮影準備のコールをすると一緒にコールするんです。誰よりも通る声で(笑)。それだけで笑っちゃうし雰囲気が良くなります。
魅力をお伝えするというよりは、逆に避ける理由がないドラマだと思います。遺品整理という誰もが最終的にたどる道がテーマになっていて、そこに携わる人がメインの作品なので気付けることが数多くある。実際遺品をとおして得られる知られざる情報、たとえば故人様がどれだけ自分の仕事にかけていたか……や、ご遺族の方が初めて知る生前の姿というのはたくさんあって、ドラマでもそういう描写が入ってくるので作品の魅力は無限大になる気がします。そしてやはり草彅さん演じる鳥飼さんの人物像が何より魅力的。彼はシングルファザーですごく穏やかな人ですが大切な存在を亡くした経験があり、心の痛みを抱えているからこそ他者の痛みもわかる。ただドラマが進むにつれてそんな鳥飼さんが恋に落ちる展開になっていて僕は脚本を読んでいても未だに想像がつかないんですよね。
鳥飼さんは責任をちゃんと背負う人だし、全力で愛する人を守り寄り添う人だからそんな人がどうしてそういう心境になっていったのか、その変化をたどっていく過程は僕自身すごく楽しみ。物語が進むごとに怒涛の展開が押し寄せてきて脚本を読んでいてもまったく飽きないです。でも1話逃したらわからなくなるということもない。毎回ゲストが来てひとつひとつの家族を掘り下げていく1話完結のエピソードと全話地続きのストーリーで構成されているのですごく見応えがあると思います。
DRAMA information
『終幕のロンド —もう二度と、会えないあなたに—』
2025年10月13日スタート
毎週月曜よる10:00(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
出演/草彅剛 中村ゆり 八木莉可子 塩野瑛久 長井短 小澤竜心 石山順征 永瀬矢紘・要潤 国仲涼子
古川雄大 月城かなと・大島蓉子 小柳ルミ子 村上弘明 中村雅俊 風吹ジュン
脚本/高橋美幸
音楽/菅野祐悟
プロデューサー/河西秀幸 三方祐人 阿部優香子
演出/宝来忠昭 洞功二
演出・プロデューサー/三宅喜重
制作協力/ジニアス
制作著作/カンテレ
https://www.ktv.jp/shumaku-rondo/
photography_興梠真穂
styling_能城匠
hair&make_礒野亜加梨
text_若松正子
本作は“遺品整理”という特殊なテーマを扱ったドラマ。脚本からどんな印象を受けましたか?
優しさがあふれている脚本で語りすぎないことを大切にしている作品だなと思いました。もちろんテレビドラマなのである程度の情報は必要なのですがテーマが遺品整理なので“モノ”に残されたメッセージやそこに込められた想い、言語化されない部分にすごく着目しているのかなという印象を受けました。
説明調のセリフが少ないんですか?
説明はきっと入れていると思いますがそれがしっかりと会話になっているし、人物の言葉になっているからあまり気にならない。そこは僕の大好物な脚本でどのセリフも語り口調になっていて人間らしい部分が滲み出ているんです。僕が演じる矢作海斗という役も伝え方が下手で上手く言葉を紡げるわけではないのですが、彼の想いがしっかり伝わるような構成になっている。それもこのドラマが楽しみになるひとつの大きな要素でした。
矢作海斗は草彅剛さん演じる主人公・鳥飼樹が務める遺品整理会社『Heaven's messenger』のベテラン社員。情報解禁時では「今まであまり演じたことがないまっすぐな役」とコメントされていましたね。
やってこなかったわけではないのですが、これまではまっすぐではあるけど表には出さない表現をすることが多かったというか。僕自身がどんな役でも裏側を汲み取りがちで……。例えば、笑顔で話しているけど、実際は言葉とは違うことを思っているんだろうなとか裏腹な部分を捉えてしまうんです。でも海斗に関しては伝え方が下手なだけで基本思っていることと言っていることがリンクしている。なので変に裏を読まず余計なことを考えないようにしようと思っています。
でも塩野さんの役の振り幅がすごくないですか?(笑)
いやぁ、本当に。『光る君へ』や『魔物』を経ての今回の作品で三者三様の役を演じているなという気持ちです。ただ正直海斗のような役は演じづらい(笑)。僕はストレートで裏表のない陽キャタイプの役は苦手なので、そういう意味ではちょっと苦戦するところもなきにしもあらずかなと。僕自身、根がね、そんな明るいわけじゃないので(笑)。
前から「自分は陰キャ」とおっしゃっていますし。
そうなんです。そこへきて、海斗は会社のムードメーカーという真逆のキャラですからそこをどうできるか。自分の器を超えた表現をしようとしてもたぶん変に見えてしまうと思うので、器の限界ギリギリのラインを探りながらやっていくという感じですかね。中盤になるとさらに海斗の人間味みたいなものが出てくる瞬間がたくさんあるのでそこをどう表現するか、そして観る人の目にはどんな風に映るのか僕も楽しみです。
10月のオンエアの段階では撮影は終了していますが、今(取材は7月末)はまだ真っ最中ですからね。
今のところ撮影を終えているのは9話ぐらいですが撮影は1話ごとではなく結構バラバラに撮っていて。撮影に入ってからしばらくはご遺族様の前にいるシーンが多かったので、そのときはまだ海斗がどういう人物なのか描かれている部分があまりありませんでした。そこから会社内の撮影が始まり少しずつ彼のプライベートが見えてくる。今はそこを探りながらやっている段階です。
現場の雰囲気はどうですか?
空気感がとても自然でメチャクチャいいです。草彅さんが率先して声を出してくれたり現場の士気を上げる存在でいてくださる。その一方で僕と八木莉可子ちゃんと小澤竜心くんはどちらかというとおとなしいタイプです。
『Heaven's messenger』の社員3人組ですね。
ドラマ内では賑やかですが、現場ではおとなしいトリオ。撮影中は静かに絆を深め合っています(笑)。年齢的には間にいる僕がいろいろやらなきゃいけないと思いますが、そういうことも気にせずいられる現場です。
草彅さんとは初共演ですがどんな印象ですか?
まず挨拶の声が誰よりも大きい方なんです。でも無理をされている感じではなく、周りを気にかけていらして。僕に対しても最初はグイグイくることはなくて。草彅さんもおそらく「この子はどういう話がいいんだろう」と考えてくださって無理に乗り越えてこようとしなかったのかなと思います。でもあるとき僕がちらっと古着の話をしたら、草彅さんも古着がお好きなので120%で返してくれました。あと僕がアニメ好きだと知った瞬間、話を掘り下げてくださって本当に優しい方だなと。話すきっかけを見つけようとしてくれていたんだなっていうのをすごく感じました。
相手がどんな人が見極める目と距離感の取り方、気遣いが素晴らしいですね。
それって国民的スターの方にしかできない表現だと思います。空気を見ながら周りを巻き込む力があり、要所要所で演者もスタッフも笑わせてくれる。あのスキルはさすがとしか言いようがないです。
でも塩野さんも真顔で冗談を言って笑わせたりしますよね?
現場によってたまに冗談を言ったりしますけど、あんなにみんなをたくさん笑わすことはできないです。草彅さんは、例えばスタッフさんが現場で「次のカットは〇〇!」「(カメラ)レール敷いて!」とか撮影準備のコールをすると一緒にコールするんです。誰よりも通る声で(笑)。それだけで笑っちゃうし雰囲気が良くなります。
ムード作りの天才ですね。本作はそんな草彅さんをはじめ各キャラクターの人物像が立体的に描かれているところも特色だと思うのですが塩野さんが思うこのドラマの魅力は?
魅力をお伝えするというよりは、逆に避ける理由がないドラマだと思います。遺品整理という誰もが最終的にたどる道がテーマになっていて、そこに携わる人がメインの作品なので気付けることが数多くある。実際遺品をとおして得られる知られざる情報、たとえば故人様がどれだけ自分の仕事にかけていたか……や、ご遺族の方が初めて知る生前の姿というのはたくさんあって、ドラマでもそういう描写が入ってくるので作品の魅力は無限大になる気がします。そしてやはり草彅さん演じる鳥飼さんの人物像が何より魅力的。彼はシングルファザーですごく穏やかな人ですが大切な存在を亡くした経験があり、心の痛みを抱えているからこそ他者の痛みもわかる。ただドラマが進むにつれてそんな鳥飼さんが恋に落ちる展開になっていて僕は脚本を読んでいても未だに想像がつかないんですよね。
しかもあまり詳しく言えませんが普通の恋愛ではなく禁断の恋で……。
鳥飼さんは責任をちゃんと背負う人だし、全力で愛する人を守り寄り添う人だからそんな人がどうしてそういう心境になっていったのか、その変化をたどっていく過程は僕自身すごく楽しみ。物語が進むごとに怒涛の展開が押し寄せてきて脚本を読んでいてもまったく飽きないです。でも1話逃したらわからなくなるということもない。毎回ゲストが来てひとつひとつの家族を掘り下げていく1話完結のエピソードと全話地続きのストーリーで構成されているのですごく見応えがあると思います。
DRAMA information
『終幕のロンド —もう二度と、会えないあなたに—』
2025年10月13日スタート
毎週月曜よる10:00(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
出演/草彅剛 中村ゆり 八木莉可子 塩野瑛久 長井短 小澤竜心 石山順征 永瀬矢紘・要潤 国仲涼子
古川雄大 月城かなと・大島蓉子 小柳ルミ子 村上弘明 中村雅俊 風吹ジュン
脚本/高橋美幸
音楽/菅野祐悟
プロデューサー/河西秀幸 三方祐人 阿部優香子
演出/宝来忠昭 洞功二
演出・プロデューサー/三宅喜重
制作協力/ジニアス
制作著作/カンテレ
https://www.ktv.jp/shumaku-rondo/
photography_興梠真穂
styling_能城匠
hair&make_礒野亜加梨
text_若松正子
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