2025.8.14

LOVE PARADOX, LOVE MYSELF
HOKUTO

  • THE RAMPAGE FC対象
  • 一部フリー
吉野北人のソロプロジェクト「HOKUTO」の3ヵ月連続リリース3作目となる1st EP『LOVE PARADOX, LOVE MYSELF』がリリースされた。今作はシングル曲「オパッキャマラド!」「MINE」とリード曲「Tiger Boy」のほか2曲を収録しており、多彩なアプローチを積み重ねつつ、等身大の“今”を浮き彫りにしたチャレンジングな作品。インタビューでも「大きな一歩を踏み出せた」という楽曲制作の経緯や「矛盾を抱えながらも自分らしさを肯定する」というタイトルに込めた想いなど、語られる言葉ひとつひとつに挑戦を果たした自信と自負がにじむ。この1枚をとおして改めてHOKUTOのポテンシャルの高さを感じることができた。


リード曲「Tiger Boy」はこれまでのHOKUTOさんにはなかった新しいアプローチの楽曲。作詞作曲はシンガーソングライターの乃紫さんが手がけていますが、どのようなコンセプトで制作されたんでしょう?



乃紫さんはTikTokでもすごくバズっているような方。いろいろ打ち合わせさせていただいたのですが、とにかく“THE吉野北人”って曲を作りたいとおっしゃっていて。自分だったら絶対書かないような歌詞、たとえば〈どこから撮ってもいいよ〉とか〈泣きぼくろに パールのような肌 どこにいたってポップスター〉とか、ちょっと恥ずかしいフレーズもあるんですよ(笑)。でもそこが新鮮だったし、自己肯定感が高くて自信に満ちあふれたポップスターというイメージは自分じゃないと表現できないと思いました。

多忙なスターの日常をちょっと茶化したようなユーモアあふれるリリックもあって。



確かに僕は休みがあったらすぐ海外に行ったりするので、そういうのを上手く落とし込んでくれてるんですよね。まぁでも僕もハリウッドスターとか世界を飛び回るアーティストとかのイメージって飛行機で足を組んでシャンパン飲んでみたいな、そんな感じなのでそれを自分が演じているって感覚がおもしろかった。実際の僕は全然違いますけどね(笑)。

乃紫さんとはかなり密にやりとりを?



そうですね。ただ打ち合わせの段階で歌詞の構成とかは結構変えました。最初は〈I'm a singing star,〜〉というところがメインでメロも長かったんですけど、僕のなかでは冒頭の〈I might be in Vegas〜〉の部分がめっちゃ頭に残りまして。なので、ここを最初に持ってきてほしいとか、メロもそんなに長くしないですぐサビにつなげてインパクトを出したいですと事前に伝えて、最終的にこの構成になったんです。あとアレンジに関してもちゃんと音楽性があるものにしてほしいって言ったら生バンドで音を入れてくださって、すごくこだわりながら作ってくださったので良かった。キャッチーなだけじゃなく音楽的にもしっかりした曲になったと思います。

タイトルの「Tiger Boy」はどう思いましたか? 個人的にはぴったりというか。一見フェミニンだけど実は男らしいHOKUTOさんをよくわかっているなと思ったのですが。



僕、そう見えてます?

はい。どんなときも動じない泰然自若なイメージがあって、お会いするたび「人生何周目?」って思っています(笑)。



本当ですか。うれしいです(笑)。乃紫さんも「強さを出したい、男らしい吉野北人を見せたい」っておっしゃっていたので、このタイトルを見たときはなるほどなと。だからリリックも曲全体の雰囲気も自信に満ちあふれた虎のような感じになっているんだなって納得しました。

普段は虎に例えられることってないですよね?



ないですね。だいたいワンコとか。でも“Cat Boy”じゃなくて良かったです(笑)。

歌うときに意識したことは?



めっちゃ難しかったです。僕はどうしても歌っぽく歌ってしまうのですが、乃紫さんは「歌い上げないでしゃべっているような感じで歌ってください」というディレクションだったんです。なので、いろいろ試したのですがラップ部分も含めてなかなかできなくて。

これまでとは違う筋肉を使わなきゃいけない感覚ですかね?



いや、どの筋肉も使わないって感じです。力を抜きすぎじゃないかってくらい「もっと力を抜いて」「もうちょっとしゃべってる感じで」って言われて逆に普段どれだけ力が入ってんだって改めて思わされたという。でも余計な力を全部取っ払って歌った楽曲なので、仕上がったものを聴いたときはちょっと不思議な感覚。自分の表現がまた広がったなって思いました。

新録曲のこともお聞きしたいのですが、まず「Smile for me」について。曲調はさわやかなのに内容はせつないビタースイートな曲ですね。



片思いの曲でメチャクチャ青春というか、かわいらしくてピュアな曲です。でも実はこれは1年くらい前のデモで当時ひたすら歌ったなかの1曲。そのときはそんなにインパクトが残っていなかったのですが、歌詞がかわいかったので改めて歌ってみたら雰囲気が変わりすごく素敵だなと。ずっと寝かせていた楽曲なんですけどいい仕上がりになりました。

目立つ位置にあるわけじゃないけどじわじわ効いてくるというか。ファンの間で密かに名曲として語り継がれていくタイプの曲だと思いました。



僕もそんな気がします。聴けば聴くほど耳に残るし歌詞も切ないけど、ポジティブさもあって誰でもこういう時期ってあるよねって共感できる。想いが届かなくても恋してる時間が幸せみたいな、そんな瞬間ってあるじゃないですか。歌うときもそこを意識したつもりなので恋の楽しさみたいなものが届いてくれたらいいなと思います。

もう1曲の「We'll be okay」は王道バラード。前回「MINE」のインタビューで「得意なのはやっぱりJバラード」と話していましたがクリスタルボイス全開で聴かせる曲になっていますね。



これはデモのなかでイチオシだった曲。シングル2曲とリード曲でいろんな表現をしたので「Smile for me」と「We'll be okay」の2曲は自分っぽさがあって心地いい曲を選びました。やっぱり新しいことばかりだとファンの皆さんも疲れてしまうし僕も疲れてしまいますから、特に最後は落ち着くバラードを持ってきたかった。あと「We'll be okay」は2番から自分で歌詞を書いたのでそこもじっくり聴いていただければ。

〈愛してるよりもっと特別な人〉など、究極の愛を表現しているリリックが沁みます。どんな存在を思い浮かべながら書かれましたか?



それは本当に人それぞれだと思っていて。たとえば飼っているワンちゃんでもいいし、おいしいごはんだっていい。どんな対象であろうと心底愛おしければ愛してるを超える存在になると思うんです。なので、自分にとって特別なものを感じながら聴いてもらうと、よりこの曲の良さが際立つんじゃないかなと。それくらいストレートに愛を歌った素敵な曲です。

今作はEPのタイトル『LOVE PARADOX, LOVE MYSELF』(矛盾を愛せ、自分のすべてを愛せ)もインパクトがあって素敵です。この言葉にはどんな想いが?



このタイトルはまさしく自分が表現したいと思っていること。どんな自分でも間違いではなく失敗をしても矛盾を抱えても、ありのままを愛そうよっていうそのままの意味なのですが、自分という人間として生まれたからには愛してあげないともったいないというか。僕は自分を受け入れて大切にできなければ、周りの人も大切にできない気がしていて。自分を大切にするからこそ何か嫌なことをされたとき「こういうことをされると傷つく」っていう気付きにもなると思うんです。そしてその気付きがほかの人に優しくしたり愛を持って接するってところにつながっていくと思うから、まず等身大の自分を愛することが始まりなのかなと。この1枚でいろいろな曲をとおして伝えたかったのもそういうことなので、このタイトルに決めました。

今作でソロとして3ヵ月連続リリースプロジェクトがコンプリートしますが、どんな自分を表現できたと感じていますか?



まずソロとしてのこれから、HOKUTOとして始動しますよって意味で大きな一歩を踏み出せたし、今後の自分をより期待してもらえるリリースになったと思います。まだまだ試行錯誤中ではありますが僕のなかでもっといけるって確信も持てたので、これからも志(こころざし)を高く自信を持って曲を展開していきたい。すでに次のアイデアも膨らんできているので、今年はさらに予想外なことをする年にしたいと思っています。

また新しい“HOKUTO”に会えるんですね。



はい。いろいろ考えているのでファンの方には楽しみにしていてほしいですね。
Digital EP
『LOVE PARADOX, LOVE MYSELF』
配信中
▼STREAMING & DOWNLOAD
https://lnk.to/LOVEPARADOX_LOVEMYSELF

▼「Tiger Boy」Music Video


photography_Tany
text_若松正子

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