2025.7.13

First Step
HONEST BOYZ®︎

  • フリー
HONEST BOYZ®のDigital EP『First Step』が7月11日にリリースされた。本作は全4曲収録されており、今回は日本テレビ『ダンバトオーディション-DANCE BATTLE AUDITION』のテーマ曲である「First Step feat. Ashley」と昨年のNAOTOのソロツアー『NAOTO PRESENTS HONEST HOUSE 2024 "THE FINAL"』の東京公演でも披露された「Popcorn feat. RIEHATA,遠藤翼空&山本光汰 from KID PHENOMENON」についてインタビュー。制作のきっかけや曲に込めた想いのほか、NAOTO、SWAYそれぞれの「今後踏み出したい“First Step”」について語ってもらった。

EP『First Step』の1曲目となる「First Step feat. Ashley」は『ダンバトオーディション-DANCE BATTLE AUDITION』のテーマ曲。オーディションの候補者たちからインスパイアされて楽曲制作したそうですが、その経緯を教えてもらえますか?



NAOTO:1次審査でものすごい数の動画が送られてきまして、それを見て「動画を送った時点でみんな夢への第一歩を踏み出している」と思ったのが最初のきっかけです。僕も経験があるけど一歩目って怖かったり重かったり、ちょっと面倒な気がしてなかなか踏み出せないじゃないですか。結果、何もせず終わってしまうこともあるけど、動画を送ってくれたのはその一歩目を踏み出した人たちでそこに対してのリスペクトの気持ちを曲にしたかった。同時に僕自身こうやってオーディションを受けたなって若かりしころの自分を重ね合わせ、その熱量をSWAYに伝えて彼がギュッと圧縮してくれてできた曲です。

「熱量をギュッと圧縮」したのは曲を聴くとすごくわかります。イントロから胸苦しくなるようなギリギリ感があって、ドラマチックな緊張感が伝わってきました。



NAOTO:緊張感とかってHONEST BOYZ®っぽくない部分でもあるんですけど、今回はやっぱり『ダンバトオーディション』というところにフォーカスして作ったのでこういう仕上がりになりました。でも、HONEST BOYZ®のフロウで作っているから、こういうアプローチもHONEST BOYZ®の枠内なのかなと僕は思っています。

SWAY:僕もHONEST BOYZ®がこういう曲をやるということにそんなに抵抗はなくて。むしろ今回のオーディションがありLDHはD.LEAGUE参戦、そしてNAOTOさんがチームディレクターとして関わっているというのはHONEST BOYZ®にとってすごくいいきっかけだと思っています。その伏線じゃないですけど、昨年はNAOTOさんのソロツアー『NAOTO PRESENTS HONEST HOUSE 2024』があり、そこでダンサーからアーティストになるまでの“NAOTO'S HISTORY”を曲にしまして。そんなNAOTOさんのファーストステップと今回『ダンバトオーディション』で夢に向かっていく人たちのファーストステップが重なったので僕のなかではすごく作りやすかったです。


曲中に何度も出てくる〈Make history〉というリリックには、ファーストステップを経て自ら歴史を作るという意思が込められているんですね。



SWAY:NAOTOさんが言ったとおりオーディションに応募した時点でその人たちの歴史は始まっている。そこで落ちちゃう人もいるかもしれないけど、勇気を出して踏み出したことが後々人生の強みになるってことを表現したかったんです。

NAOTO:だから、落ちたからといって後退したわけでも何かを失ったわけでもない。一歩目を踏み出して失敗したという経験を得たことですでに一歩進んでいるんですよね。

SWAY:NAOTOさんは「みんなが送ってくれた映像にはいろんな画角がある」って打ち合わせの段階から話していて。仲間や家族に撮ってもらった動画もあればひとりで背景も気にせず撮っているものもあって、どれも「その一歩がでかい」ってめっちゃ言っていたんですよ。でも、確かにそのとおりだなって思いました。

「First Step」にはそういういい意味の泥臭さがありますね。聴いているうちにシャドーボクシングをするボクサーのような、一心不乱にトレーニングに打ち込む姿が浮かんできました。



NAOTO:ちょっと映画の『ロッキー』っぽいですよね。僕的にもこの曲は戦う前の男のストイックな姿というか。『ロッキー』の試合前のトレーニングシーンのイメージがあって。

そうです! 浮かんだのはそのシーンです。



NAOTO:あれです、あの感じです(笑)。

Music Videoはどんな仕上がりになっているんですか?



NAOTO:この曲に関して主役はやっぱりオーディションに挑戦する人たちなので彼らのドキュメント映像が基本になっていて、僕らはストーリーテラー的なポジションになっています。リップシーンみたいのもあるけど、そこも演じるというよりは自分がダンサーだったころ……って今もダンサーですけど(笑)。

SWAY:ですね(笑)。

NAOTO:自分が一歩目を踏み出したころのようにリュックを背負って、イヤホンで音楽を聴いて振りを考えながら街を歩くみたいな。それってダンサーあるあるなんですけど、そんなシーンも入れながら、でも映像のタッチは変えず当時の自分を思い出してドキュメントっぽく撮ってリップしました。SWAYもラッパーとしてのドキュメントっぽくなってるよね?

SWAY:そうですね。街を舞台に戦っている姿を撮りました。

今回、主役はオーディション候補者、おふたりはストーリーテラーということですが、フィーチャリングしているAshleyさんはどういう立ち位置になるんでしょう?



NAOTO:Ashleyちゃんはもう神。

SWAY:まさに女神的存在。勝利の女神ですよ。

確かに場(曲)の空気を一瞬で変える歌声です。



SWAY:レコーディングをするとアーティストの受け皿の広さがわかったりするんですけど、Ashleyも歌い出すとガラッと変わるタイプなんです。しかもアーティスト活動をしてまだそんなに日が経っていないので日々の吸収が凄まじいというか。ちょうど今彼女のソロプロジェクトの曲を作っているんですけど、「First Step」のときからさらにスキルアップしていてすごいなと。彼女自身は初めて会った人でもそう感じさせないくらいノリのいい子なんだけど、その奥にしっかりAshleyという存在感を持っていて。いろんな人と自然に仲良くなっていく姿を見ていると、これはもう生まれ持った才能かなって思いました。

歌声も存在感も女神なんですね。そんなAshleyさんが歌う〈運命の一瞬が 今日までの一生を光らせる〉という歌詞は“天の声”のように聴こえて刺さります。



SWAY:そこは本当に歌詞のとおり。オーディションに受かれば努力してきたこれまでの日々はすべて光輝くものになると思うんです。でも、さっきも言ったように受からなかったとしてもその価値は変わらない。どこか別の場所、違う形で光るはずだし、その瞬間このオーディションで一歩踏み出した勇気を思い出してくれたら、そして振り返ったとき「あれが大事な一歩だった」って思ってもらえたらうれしいですよね。

そう考えるとこの曲はいろんな視点のストーリーがありますね。努力してきた過去の自分と戦いに挑む今の自分、そしていつかそれを振り返るであろう未来の自分と。



NAOTO:そう捉えてもらえたら、うれしいです。

SWAY:なかでも〈あいつ以上何倍、何十倍も苦労したし〉って歌詞はやっぱ刺さると思う。これ、オーディションを受ける人はみんな思ってますよね?

NAOTO:そうだね。「俺がいちばんやってきた」ってみんな思ってる。

あと〈手のひら返すように めくれる本性〉という歌詞も印象に残ったんですけど。



NAOTO:これはSWAYさん、どういうことですか?

SWAY:オーディションってお互いいろんな見られ方をすると思うんですけど、ちょっと目立つやつがいると「あいつ嫌い」って根拠なく毛嫌いして、でも実は気になっているとかありません?

NAOTO:あるある(笑)。

SWAY:俺自身「嫌い」って思った相手をめっちゃ気にしてたことはあるし、逆に嫌われたこともあると思うけど、誰かを「嫌い」って言うやつって、その相手が成功すると「いや、俺はこいつが来ると思ってた」とか急に言い出すんですよ。それこそ手のひら返しで(笑)。だからその歌詞は「嫌い」って言われたほうの視点に立って、お前が嫌いって思っている以上に好きにさせてやるみたいな、今に見返してやるって気持ちで入れたリリックです。

NAOTO:目立つと必ずネガティブなことを言う声は出てくるもんね。

それもオーディションのリアル。まさにドキュメントですね。一方、2曲目の「Popcorn」はHBZカラー全開。ゆるいグルーヴからサビに向かってどんどん解放されていく展開が心地良い楽曲ですが制作はどのように?



NAOTO:これは僕のソロツアーでも披露しまして、ゲストで来てくれたRIEHATAとBE:FIRSTのSOTAとセッションした曲。いろんなフィーチャリングアーティストが集まってくるスタイルはよくあると思うんですけど、僕はパフォーマーでダンサーでもあるので、ダンサーが集まってくる曲にしたかったというか。要はパフォーマーがパフォーマーのためにダンス軸で作った曲で歌はKID PHENOMENONの遠藤翼空と山本光汰に参加してもらいました。

SWAY:「Popcorn」ってテーマは先に浮かんでましたよね。パンパンパンパンって弾けていく感じとダンサーがどんどん踊っていくってイメージが重なっていって。

NAOTO:そうそう。みんなのダンスが弾けるところをイメージしてタイトルも「Popcorn」になったという感じです。

SWAY:だからこの曲はとにかくダンスが第一優先。デモの段階ではもっと歌が多かったんですけど、がっつりカットして踊れるトラックのセクションを増やし構築していったんですよ。今までのHONEST BOYZ®︎感もあるので楽しんで聴いてもらえるんじゃないかなと思います。

NAOTO:でも、「Popcorn」もオーディションの課題曲なので、このEP自体が『ダンバトオーディション』を象徴する一枚になっている。リリース日の7月11日は『FINAL ROUND - LDH D.LEAGUER AUDITION -』開催の日でもあるので、リスナーの方は直前にこれを聴いて「ここで最後のメンバーが決まるな」とか「ここまでいろいろあったな」とかあれこれ思い浮かべながら観てもらえたらいいなと。

それは絶対盛り上がるパターンです。



NAOTO:ですよね。で、最後メンバーが決まったら、メチャクチャ感動すると思います。

完璧なストーリーです。ちなみにおふたりは今後“First Step”したいことはありますか?



SWAY:旅がしたいです。実はすでに構想があって旅を通してこれまで自分がやってきたことを全部形にしようと計画していまして。映像やデザイン、音楽とか、あとはしゃべるのも好きなので、そういうものすべてがひとつになったコンテンツをやりたいと思っています。

では、カテゴリーとしては旅のドキュメント?



そうですね。たとえるなら『電波少年』みたいな感じかもしれない。車を一台用意して目的地を決めて僕がひとりで運転し、その先でゲストを呼んで車中で音楽を作ったりレコーディングするとか。さらに、その様子を撮影して自分で編集をして、これまで自分が作ってきた武器をひとつに詰め込むのが今考えている僕の“First Step”。実はこれからHIROさんにこの話を相談する予定なんですよ。

まさに一歩目を踏み出すんですね。



SWAY:そう思っているんですけど、もし実現されなかったらファーストステップはゼロステップで踏み出せなかったと思ってください(笑)。

でも、HIROさんがNOという理由はなくないですか?



SWAY:ないです。なのでたぶん大丈夫です。頑張ります。

NAOTOさんはどうですか?



NAOTO:僕はまじめな答えになっちゃうんですけど、やっぱりD.LEAGUEで勝つことを最初の一歩にしたい。僕がオーディションをやる理由はD.LEAGUEチームを作り、D.LEAGUEを盛り上げることなのでチームディレクターとしてはやっぱり勝ちにこだわりたいですよね。

SWAY: (腕を上げて)勝ちましょう!

NAOTO: (一緒に上げて)勝つよ!

SWAY:完璧なFirst Stepですね。


▼「First Step feat. Ashley」Music Video



Digital EP
『First Step』
配信中
▼STREAMING & DOWNLOAD
https://ldh.lnk.to/FirstStep_digital


photography_興梠真穂,松原裕之
text_若松正子