2025.6.9

よろしく候~BOTTOM OF HEART~
松本利夫

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松本利夫主演のLEGENDSTAGE feat. カムカムミニキーナ『よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜』は激動の幕末を生きる人々を描いた作品。しかし、いわゆる英雄ものとは一線を画しており、ヒーローはおらず、主なシーンは船底というオフビートな設定&型破りな展開が見どころだ。松本自身、取材当日はまだ稽古に入る前で「どんな舞台になるのかわからない」「(演出家が)怖かったらどうしよう(笑)」と言っていたが、言葉とは裏腹にその表情に浮かぶのはひとり舞台をはじめ、さまざまな作品に挑んできたチャレンジャーらしいドンと構えた安定感。インタビューでは、そんな松本のBOTTOM OF HEART=心の土台になっているものや最近の推しなどパーソナルな部分にも言及。50歳になってもまったく変わらないエイジレスなビジュアルの秘訣も探ってみた。


LEGENDSTAGE feat. カムカムミニキーナ『よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜』の脚本を拝見しましたが、かなりマニアックな設定といいますか。これまでの幕末モノとは毛色の違う内容ですね。


ビジュアルを撮るときも刀を差していたので、それは切っていくんだろうなと思ったら全然違っていました。幕末の時代の話だけど、出てくる人たちは船の原動力があるエンジン部分で石炭を詰めるいちばん底辺の役職。いわゆる“ぼっとん”と言われるところでの青春群像劇みたいな話なんですよね。でも、実は新しい時代に向かって歴史を動かしていたのはこういう人たちなのかなという。将軍や志士たちは名前が残っているけど、ここに出てくる無名の人たちの力があったから激動の時代が切り開かれていった。そういうみんなが知らない部分を描いているところに、この作品のおもしろみがあるんじゃないかなという感じがします。

松本さんが演じる榎本釜次郎も、のちに五稜郭を作り明治政府の中枢を担う偉人ですが劇中ではまだまだ無名の存在です。


普通ならもっと派手なところを舞台化したり映像化したりするだろうし、実際にされてきたじゃないですか。でもそっちじゃなく、こっちの角度からいくかっておもしろさがありますよね。別のインタビューで(演出・脚本の)松村武さんが言っていたんですけど、榎本さんは成功してからのプロフィール的なものはたくさん出てくるけど、若い時代の話がまったくないらしくて。でも掘っていったらおもしろかったとおっしゃっていて、なるほどなと。無名時代をあえて舞台化した理由はそういうことなんだなって納得しました。


松村さんからは釜次郎役を松本さんにオファーした理由って聞いていますか?


いや、聞いてないです。怖くて聞けないですよ。そもそもまだ取材で初めて会ったぐらいなのでどんな風に稽古される方なのか不安もあります。怖かったらどうしようみたいな。ただ取材で話されているのを聞くとこの舞台、この脚本(ほん)への強い想いがあって、静かそうな方だけど熱いなというのは感じました。

しかも松村さんは榎本釜次郎を立派な人ではなく欠点もある人間くさいキャラクターとして描いています。松本さんは彼の人物像をどう捉えましたか?


エリート街道にいくであろう道しるべに乗っていたけど、自分より頭のいいやつ、できるやつが周りにいっぱいいてやることなすこと上手くいかない人物。最終的に偉くなっていくけど、若いころはどちらかというとダメ組なんですよね。でも、こういう人間ってよくいるなって思います。親から期待されてエスカレーター式の私立のいい学校に入ったのはいいけど、中学、高校と学年が上がるにつれて外から優秀なやつがいっぱい入ってきて。どんどん追い越されて結局ダメな大学生になっちゃうみたいな、現代にも通じる話ですよね。

さらに釜次郎の場合、上の人たちだけでなく船底にいる自分より身分が低い人たちにもちょっとバカにされている。主人公なのに……。


でも、彼は武士なので統率はとっていく。それも力尽くじゃなく認めてもらえように頑張っていくんですよね。まだ稽古に入っていないので深いところまでわからないけど、その過程をどう描いていくか、そこもおもしろさのひとつだと思います。

本作は歌とダンス、アクションもあるそうですが。


それもどこまでやるのかなという感じだし、歌は得意じゃないんですけど(笑)。でも、できるところまで頑張るつもりです。


ミュージカル『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』のときは「歌は二度とやらない」とコメントされていましたよね。


あれはミュージカルですから。しかも歌う量が多すぎた。13曲とか歌いましたから、まぁ大変。初めてくらいのミュージカルでいきなり13曲って死ぬかと思いました(笑)。でも、今回の歌のパートはみんなで大合唱する感じなので楽しくやれるんじゃないですかね。あと、ダンスもどんなものになるのか、どれくらい踊るのかまったくわからないですけど思っているよりは派手になるんじゃないかと。テンポ感も良さそうですしね。

本作を演じるにあたって、特に気をつけたいことや意識していこうと思っていることはありますか?


結構コメディの要素が強いんですけど、聞いた話だとおそらくワンシチュエーションでやるらしいんですよ。つまり最初から最後まで船底だけのシーンでいくので絵面的にかなりシンプルになる。ということは、会話劇がしっかり成立しないと持たないわけで、そこにコメディ要素が入ってくるとなると狙ったら危ないぞと。コメディは下手に狙うととんでもないことになりますから。もういたってまじめにやることを心掛けていこうと思っています。

俳優の皆さん、コメディは難しいってよくおっしゃいますよね。


本当にそう。特に釜次郎は生まじめなキャラクターなので一生懸命やっているほうがむしろおもしろみが出るんじゃないかなと。

釜次郎以外は米大使のハリスさんとか、破天荒でメチャクチャ振り切ったキャラになっていますしね(笑)。


「プロレスラーの乱入」ってト書きが入っていますから(笑)。どういうキャラクターで演じるのか楽しみですけど、そんな濃いメンツのなかで僕は弾けず、ひたすらまじめにやっていこうと思います。

STAGE information
LEGENDSTAGE feat. カムカムミニキーナ
『よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜』
日程/6月26日(木)〜6月30日(月)
会場/シアター1010
料金/¥9,900(全席指定)
総合プロデューサー/黒谷通生(レジェンドステージ)
作・演出/松村武
出演/
松本利夫
今江大地
小笠原健 松本祐一 阿部快征 亀岡孝洋
武藤晃子
神屋敷樹麗 松村優 田原靖子 内村理沙
福久聡吾 原口誠 篠原孝文
松村武
企画・制作・製作幹事/レジェンドステージ
主催/「よろしく候」製作委員会
http://legendstage.jp/yoroshiku/

チケット一般発売中
http://legendstage.jp/yoroshiku/schedule/

photography_河合克成(株式会社125)
styling_jumbo(speedwheels)
hair&make_稲野麻亜里
text_若松正子

【衣装クレジット】
《UNFILO》のジャケット¥14,990、シャツ¥14,990、パンツ¥10,990(すべてオンワード樫山)
その他、スタイリスト・本人私物

【お問い合わせ先】
オンワード樫山
03-5476-5811

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