2025.4.15

FASHION STYLE BOOK『melt』刊行記念イベント
長谷川慎

  • THE RAMPAGE FC対象
  • 一部フリー
長谷川慎が3月20日にFASHION STYLE BOOK『melt』(幻冬舎)を発売した。今作はさまざまな引き出しを持った長谷川のファッション観を、親交の深いクリエイターとのコラボレーション、圧倒的なファッションポートレート、私服スナップや私物ワードローブなどからひもとく。お気に入りのページや撮影時のエピソードなど、発売日に行われた刊行記念イベントに登壇した長谷川に聞いたインタビューを紹介する。


完成した『melt』を手にした今の率直な感想を教えてください。


『melt』の企画が立ち上がってから1年くらいかかって今日を迎えたんですけど……自分で言うのもなんですが、こだわって作ったからこそ、自分のこだわりがすごく滲み出ているなと。今まで自分が見てきたカッコいいものとか触れてきたすべてのカルチャーが詰まっていて、見た瞬間にいろんな想いが込み上がりました。この作品が、自分がおじいちゃんになるまで、この世からいなくなるまで残るんだなと思うとすごくワクワクします。

タイトル『melt』は、どのように決めたのか教えてください。


今回のロケ地は横浜中華街がメインだったのですが、そこに向かうために、ヘアメイクさんやカメラマンさんと都内で集合してバスで移動したんです。でも初めましてだったので緊張感があって。そこで、みんなでお酒を飲みながら行こうということになって、バスの中で乾杯して、お酒を飲みながら行きました。そのときにカメラマンさんが「このまま飲み続けて撮影していたら、まこっちゃんがメルトダウン(酒で酔い潰れる)しちゃうんじゃない?」と言ったんです。で、僕も「メルトダウンしたらやばいっすね」みたいに話していて。実際にお酒を飲んでいるシーンの撮影もあったりして、そのときの「メルト」という言葉がすごく自分の中に残ったんです。意味をちゃんと調べてみたら、スラングで「情けない」という意味があって。「情けない」ってネガティブな言葉だと思うんですけど、自分の情けない部分や弱い部分を出せるって強みでもあるなと思って、まずはその意味に惹かれました。それに、自分は未完成だし、情けない部分もたくさんあって、そんな中で完璧を求めて生きているし、ずっと未完成なままの自分が好きだなとも思った。さらに、調べていくと「感動」とか「魅了する」というポジティブな意味もある言葉だということを知って、このタイトルにしました。意味は後付けですが、今となっては自分にとってすごく大事な、好きな言葉になりました。

中華街での撮影は飲みながらとおっしゃっていましたが、実際にずっと飲んでいたわけではないんですよね?(笑)


そこまでは……(笑)。でも僕もカメラマンも「こんな写真撮ったっけ?」って思うくらい、あまり記憶がないくらいには酔っ払っていました。

ご自身で見て、酔っ払っているときと酔っ払っていないときで、違いは感じますか?


やっぱり酔ったときにしか出ない表情ってあるなと思いました。緊張感もないし、目がとろんとしていて。よく見ると、酔っ払っていく過程がわかる。そういうものが写真から伝わってくるのがおもしろいです。

「GL-16~THE RAMPAGE BOOKS~」の中で、皆さんがいろいろな書籍を出されていますが、その中でファッションスタイルブックを選んだ理由を教えてください。


幻冬舎さんから「スタイルブックを出しませんか」と声をかけていただいてスタイルブックにしました。ただ……自分は過去に写真集を出させてもらったことがあるのですが、正直写真集とスタイルブックの違いがあまりわかっていなくて。「スタイルブックを出しませんか」と言ってはいただいたものの、どうなっていくのか、最初は不安もありました。でも進めていくなかで、スタイルブックに対して夢中になっていって。気付いたらこんなに最高な作品ができていました。

では、今作では持っているものをすべて詰め込めた?


はい。本当に全力を尽くしたので、逆に今後が心配になるくらい。「これを超えられるのかな」って。前回の写真集もマックスを出し切ったので「次どうなるんだろう」と思っていたのですが、今回しっかりそのときの自分を超えられたので、その安心感もありますし、同時に未来で自分が超えられるのか心配です。

お気に入りのページを教えてください。


お気に入りは、「change」というカテゴリーの扉ページ、自分で髪の毛を切っているシーンです。普段なかなか自分で自分の髪を切っている瞬間の写真って撮れないし、その思い切った瞬間を収められたのでお気に入りです。ちょうどドラマの撮影に入っていて、長めの黒髪から銀髪の短髪にしなくちゃいけないタイミングで。だったらそのシーンを撮影したらおもしろいんじゃないかという話になって収めたのが「change」のパート。僕のお父さんが美容師なので、お父さんをスタジオに呼んで切ってもらっているところを撮影しました。お父さんのことはすごく尊敬しているし、そんなお父さんに『melt』に出演してもらって形に残せたというのもすごくうれしくて。いろんな想いが詰まった「change」になりました。

今作では私服で撮影に挑んだページもあるそうですが、私服のセレクトについて聞かせてください。


私服じゃないパートのところはかなり衣装っぽいというか、普段私服では着られないような派手な洋服を着せてもらったので、自分のワードローブでは、よりリアルな私服っぽいものを意識してスタイリングしました。

今回の『melt』でも私物コレクションが掲載されているそうですが、私物のファッションアイテムはどれくらいお持ちなのでしょうか?


掲載されているのは本当に一部です。コレクションはずっとしていて、その中に自分の中でのランクがあるんです。そのトップランカーを詰め込みました。それ以外のアイテムは数百点ありますね。倉庫にも預けているのですが、それどころかここに掲載されているアイテムも、幻冬舎さんでの撮影を終えたあと、家に戻すのが大変すぎて、まだ幻冬舎さんにあって。幻冬舎さんも倉庫にさせてもらっています(笑)。

コレクションを減らそうとか処分しようという気持ちは?


まったくないです(笑)。引き続きコレクションし続けます。

今日の衣装のポイントを教えてください。


今日の衣装は全身Yohji Yamamoto。今回のスタイルブックのスタイリングをメインで手がけてくれた平本ジョニーさんと、Yohji Yamamotoのショールームで一緒に選びました。Yohji Yamamotoからお借りするということで、「“Yohji節”が炸裂したものがいいね」という話になったので、斬新なデザインのもので。全身黒とかでシックに決めても良かったのですが、白でどしっと見せたいという自分のイメージもあって、白多めの衣装にしました。

完成した『melt』をTHE RAMPAGEメンバーに渡したときの反応を教えてください。


先日、ツアーの横浜アリーナ公演の終演後にメンバーに渡しました。みんな「カッコいいね」って言ってくれてすごくうれしかったです。自分はTHE RAMPAGEでファッション担当なのですが、メンバーから言われるシンプルな「カッコいい」は、すごく自分の心に刺さりました。

今日のお話の中でも「カッコいい」という言葉が何度も出てきましたが、長谷川さんが考える「カッコいい」の定義を教えてください。


シンプルに使いやすいし、何の気持ちも込めずにも言えるような言葉だと思うんですけど、本当の「カッコいい」は滲み出るものだと思っていて。生き様というか。五感で感じるすべてが自分を作り上げていくので、何かを見るとか、何かを感じ取るときにしっかり自分でチョイスをして、「これはこうだから自分にこう見えて、こう感じる」というものを理解して、それを繰り返して、吸収していくことが大切で。「melt」には「溶かす」とか「溶ける」という意味もあるのですが、まさに自分が見てきたものを噛み砕いて自分の中に“溶かして”いって、そのフィルターで自分の中のカッコいいを作っていく。外側だけじゃなくて、中身の部分をしっかり作っていくことが「カッコいい」につながるんじゃないかなと思います。

ご自分のことはカッコいいと思いますか?


自分で言っていいんですか……?

もちろん。


はい、カッコいいです。……恥ずかしいな……。しっかり内側からカッコいい人になりたいなと思って日々過ごしています。


BOOK information

『melt』長谷川慎(THE RAMPAGE)/幻冬舎


『melt』
NOW ON SALE
定価:2,860円
仕様:B5半並製/オールカラー/160頁
https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344042872/

photography_塩崎亨
text_小林千絵


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