小澤雄太と新田恵海がW主演を務める舞台『殺し屋にくびったけ』が、3月26日から30日まで東京・六行会ホールで上演される。今作は、あるひ主催公演の第8弾。“正義とは何か”をテーマに、ウルトラマンションの安藤亮司が脚本・演出を手がける。インタビューでは、亀山大輔役の小澤に作品の魅力や役どころについて話を聞いた。
そうなんですよ。デビュー一発目のお芝居でも刑事役をしていたんです。当時22歳だったのに、30代後半の刑事の役だったのでどうしようかと思ったのを覚えています(笑)。そのあと、ドラマでも刑事役をいただいてからは、年に1回は刑事を演じていて。
刑事顔なのかも(笑)。今回の『殺し屋にくびったけ』は、前作を見ることができなかったので、僕の中では新しい作品として新鮮な気持ちで向き合っています。最初に脚本を読んだ時点から、ものすごく素敵な作品だということが伝わってきて、ワクワクしてきました。禁断の恋って、誰もが憧れがあると思うんですよね。やってはいけないことなんだけど、そこにある真実や理性を超えてまでしていいことなのか、悪いことなのか……そういったさまざまなことは今の日本の政治や社会問題と重なるところがあるので、観ている方も感情移入しやすい作品になっていると思います。しかも、今作を観たあとに、明日への希望につながってくれたら最高だなって思ったんですよね。それに今作では人間は悪はいないけれど、最初と最後で見え方が変わってくるような、役者の技量が問われる作品になっているんです。そんななか、セリフがかなり少ないので、役者としてかなり作りこまなくちゃいけないなと思ったんです。しゃべらないぶん、動きや目線などをしっかりと作っていこうと思っています。
僕もそう思いました(笑)。「これ、俺じゃないほうが良くない……?」とも思ったんです(笑)。でも、芝居の引き算の真骨頂を楽しめる作品だとも思ったんですよね。2人組の芸人さんのように、ボケとツッコミがあったとしたら、間違いなく僕はしゃべってボケるほうなんですが、今回はあえてツッコむほうにまわっているんです。普段はしゃべっていたほうが落ち着くのですが、新たな挑戦として楽しみたいですね。
実は、2024年の同じ時期に舞台『MIANEYO―ごめんね―』で一緒にお仕事していた方に、「2025年にまた舞台をやりたいので出てください」とオファーをいただいていたんです。そのときはヤクザの役だったので、なぜ今回口数が少ない刑事の役になったのかは不思議なのですが(笑)、そういう姿を見たいと思ってくれたのならうれしいですね。それに、ほぼ同じ制作会社のメンバー、キャストで舞台ができるってすごく幸せなことで、仲間が1年間、さらに力をつけて帰ってきてくれたようなイメージがあるんです。このメンバーでお客さんの心に刺さる作品を作りたいなとよく思っています。
そうだとありがたいですね。きっと今回も見せたいのは僕の人間性なんだろうと思っています。僕自身どんな役も人間性がないと伝わらないと思っていて。だからこそ、しゃべっている言葉、語尾、仕草に含まれるものを全部出してほしいと思ってキャスティングしてくれていると思うので、かなり気合いが入ります。それに僕はずっと若いころから「最後は人間性だから」と言われ続けてきたんです。僕もカッコ良さでも芝居の上手さでもなく、技術ではなく、続けられることと、そのために必要なものを育てられる人しか残らないと実感していて。車もそうなのですが、いくら速かろうが遅かろうが、ハイオクだろうが軽油だろうが、走らなくちゃ意味がないんです。ずっと走り続けられる車をどう探すのか、それがいちばん大事なんですよね。僕は不器用ですし、ものすごくカッコいいかと言われたらそうではないので、僕はどんなに辛いことがあっても、続けていかなくちゃいけないと思っています。
そうですね。16年間続けてきて、今やっとそのつぼみが咲いてきたのかなって思っています。結局、僕は芝居にくびったけなんです。
(笑) 僕はほかの仕事でも、やり始めたら続けられる自信はあるんです。でも、芝居は形がなくて、正解がないからこそ、すごく楽しいんですよね。そのほうが僕には合っているんです。
これがないんですよ。ずっとふわふわしていて(笑)。座長になった作品は、この人たちをどう引っ張って素敵にしなくちゃいけないのかということで頭がいっぱいになりますし、「やったー! 主演だ!」と思ったことは一度もないですね。「あの舞台は良かったね」って言ってもらえるような作品にしないといけないのと、エンタテイナーとして、「あの人が座長なら間違いないよね」と言われるような座長になることって、本当に大変なことだと思うんです。誰よりもお客さんを呼べなくちゃいけないと思うし、そのお客さんに楽しんでもらわなくちゃいけないし……。だからこそ、毎回答えはわからないんですが、周りのキャストが「また次頑張ろうって思える舞台だったよね」と思ってもらえたら、それがいちばんうれしいことだなと思っています。
僕以外の人たちも顔見知りの人たちが多いので、現場はすごく和やかですね。年齢層も高いですし、経験のある方が多いので、安定感があります。
中学生のまま、大人になったようなキャラクターなんです。僕の中で、警察官や公務員になる方って、自分に足らないものを勉強にぶつけて、遊ぶことも返上して勉強していた人たちだと思っていて。人を助けるために救急隊員になったり、医者になったり、困っている人を助けるために弁護士になったり……。そんななか、大輔が生きていくうえでできることはなんだろうと考えたときに、警察官を選んだんだと思うんですよね。でも、一生懸命生きてきた先で、この作品に出てくるような人たちと出会ってしまい、恋を知り、自分の人生を賭けてきたものがブレてくるようなお話になっているんです。それに、ものすごくピュアなんですよ。そんな役を僕がやる意味をちゃんと見せなくてはダメだと思うんです。不器用で、無骨で、まじめというキャラクターを口数の少ない中でしっかりと表現できたらいいなと思っています。
安藤さんは、前回も今回も、めっちゃ委ねてくれるんです。基本的に脚本と演出家を兼ねて手がける方って、もう画が決まっているから、演出も固まっていることが多いんですよね。でも、もともと役者だったこともあり、僕が試すこともすごく楽しんでくれるんです。それがすごく柔軟でいいんですよね。やっぱり、自分の意見が入ってくるって、命を宿しているようなものだから、すごく大事なんですよ。
若かりしころの初恋の気持ちを思い出しに今作を観に来てほしいですね。みんな、違う初恋をしていると思うからこそ、“こういうことがあったな”と思い浮かべられるような作品にしたいと思っています!
STAGE information
舞台『殺し屋にくびったけ』
日程/3月26日(水)〜3月30日(日)
会場/東京・六行会ホール
料金/SS席¥14,000、S席¥9,000円、A席¥7,500(全席指定)
脚本・演出/安藤亮司
出演/小澤雄太 / 新田恵海 / 平松可奈子 / 石渡真修 / 水原ゆき / 輝山立 / 堺萌香 / 武井雷俊 / 宮ちあき / イ・シガン(友情出演) / 川村陽介 / 浦咲人 / 外山達也 / 上野理 / 西出将之 / 渡辺和貴 / えまおゆう
https://aruhi.org/korokubi
photography_興梠真穂
styling_Jumbo(SPEEDWHEELS)
hair&make_山崎桂
text_吉田可奈

主演舞台『殺し屋にくびったけ』がついに始まりますが、小澤さんは刑事役が多いですね。
そうなんですよ。デビュー一発目のお芝居でも刑事役をしていたんです。当時22歳だったのに、30代後半の刑事の役だったのでどうしようかと思ったのを覚えています(笑)。そのあと、ドラマでも刑事役をいただいてからは、年に1回は刑事を演じていて。
それだけイメージがあるのかもしれないですね。
刑事顔なのかも(笑)。今回の『殺し屋にくびったけ』は、前作を見ることができなかったので、僕の中では新しい作品として新鮮な気持ちで向き合っています。最初に脚本を読んだ時点から、ものすごく素敵な作品だということが伝わってきて、ワクワクしてきました。禁断の恋って、誰もが憧れがあると思うんですよね。やってはいけないことなんだけど、そこにある真実や理性を超えてまでしていいことなのか、悪いことなのか……そういったさまざまなことは今の日本の政治や社会問題と重なるところがあるので、観ている方も感情移入しやすい作品になっていると思います。しかも、今作を観たあとに、明日への希望につながってくれたら最高だなって思ったんですよね。それに今作では人間は悪はいないけれど、最初と最後で見え方が変わってくるような、役者の技量が問われる作品になっているんです。そんななか、セリフがかなり少ないので、役者としてかなり作りこまなくちゃいけないなと思ったんです。しゃべらないぶん、動きや目線などをしっかりと作っていこうと思っています。
小澤さんは、普段からとてもお話しされるイメージがあるので、今回演じる役とはまた違った印象になりそうですね。
僕もそう思いました(笑)。「これ、俺じゃないほうが良くない……?」とも思ったんです(笑)。でも、芝居の引き算の真骨頂を楽しめる作品だとも思ったんですよね。2人組の芸人さんのように、ボケとツッコミがあったとしたら、間違いなく僕はしゃべってボケるほうなんですが、今回はあえてツッコむほうにまわっているんです。普段はしゃべっていたほうが落ち着くのですが、新たな挑戦として楽しみたいですね。

キャスティングの際に、プロデューサーの方からどんなことを言われましたか?
実は、2024年の同じ時期に舞台『MIANEYO―ごめんね―』で一緒にお仕事していた方に、「2025年にまた舞台をやりたいので出てください」とオファーをいただいていたんです。そのときはヤクザの役だったので、なぜ今回口数が少ない刑事の役になったのかは不思議なのですが(笑)、そういう姿を見たいと思ってくれたのならうれしいですね。それに、ほぼ同じ制作会社のメンバー、キャストで舞台ができるってすごく幸せなことで、仲間が1年間、さらに力をつけて帰ってきてくれたようなイメージがあるんです。このメンバーでお客さんの心に刺さる作品を作りたいなとよく思っています。
どんな役であれ、小澤さんがここまで舞台の出演作が途切れないのは、人間性にあると思うのですが……。
そうだとありがたいですね。きっと今回も見せたいのは僕の人間性なんだろうと思っています。僕自身どんな役も人間性がないと伝わらないと思っていて。だからこそ、しゃべっている言葉、語尾、仕草に含まれるものを全部出してほしいと思ってキャスティングしてくれていると思うので、かなり気合いが入ります。それに僕はずっと若いころから「最後は人間性だから」と言われ続けてきたんです。僕もカッコ良さでも芝居の上手さでもなく、技術ではなく、続けられることと、そのために必要なものを育てられる人しか残らないと実感していて。車もそうなのですが、いくら速かろうが遅かろうが、ハイオクだろうが軽油だろうが、走らなくちゃ意味がないんです。ずっと走り続けられる車をどう探すのか、それがいちばん大事なんですよね。僕は不器用ですし、ものすごくカッコいいかと言われたらそうではないので、僕はどんなに辛いことがあっても、続けていかなくちゃいけないと思っています。
やり続けられるのも、才能ですしね。
そうですね。16年間続けてきて、今やっとそのつぼみが咲いてきたのかなって思っています。結局、僕は芝居にくびったけなんです。
上手い!
(笑) 僕はほかの仕事でも、やり始めたら続けられる自信はあるんです。でも、芝居は形がなくて、正解がないからこそ、すごく楽しいんですよね。そのほうが僕には合っているんです。
お芝居を重ねるうえでの手応えはどうですか?
これがないんですよ。ずっとふわふわしていて(笑)。座長になった作品は、この人たちをどう引っ張って素敵にしなくちゃいけないのかということで頭がいっぱいになりますし、「やったー! 主演だ!」と思ったことは一度もないですね。「あの舞台は良かったね」って言ってもらえるような作品にしないといけないのと、エンタテイナーとして、「あの人が座長なら間違いないよね」と言われるような座長になることって、本当に大変なことだと思うんです。誰よりもお客さんを呼べなくちゃいけないと思うし、そのお客さんに楽しんでもらわなくちゃいけないし……。だからこそ、毎回答えはわからないんですが、周りのキャストが「また次頑張ろうって思える舞台だったよね」と思ってもらえたら、それがいちばんうれしいことだなと思っています。

現在、稽古が始まったばかりだとお聞きしましたが、いかがですか?
僕以外の人たちも顔見知りの人たちが多いので、現場はすごく和やかですね。年齢層も高いですし、経験のある方が多いので、安定感があります。
小澤さんが演じる“亀山大輔”の魅力はどんなところにあると思いますか?
中学生のまま、大人になったようなキャラクターなんです。僕の中で、警察官や公務員になる方って、自分に足らないものを勉強にぶつけて、遊ぶことも返上して勉強していた人たちだと思っていて。人を助けるために救急隊員になったり、医者になったり、困っている人を助けるために弁護士になったり……。そんななか、大輔が生きていくうえでできることはなんだろうと考えたときに、警察官を選んだんだと思うんですよね。でも、一生懸命生きてきた先で、この作品に出てくるような人たちと出会ってしまい、恋を知り、自分の人生を賭けてきたものがブレてくるようなお話になっているんです。それに、ものすごくピュアなんですよ。そんな役を僕がやる意味をちゃんと見せなくてはダメだと思うんです。不器用で、無骨で、まじめというキャラクターを口数の少ない中でしっかりと表現できたらいいなと思っています。
演出の安藤さんとどんなお話をしましたか?
安藤さんは、前回も今回も、めっちゃ委ねてくれるんです。基本的に脚本と演出家を兼ねて手がける方って、もう画が決まっているから、演出も固まっていることが多いんですよね。でも、もともと役者だったこともあり、僕が試すこともすごく楽しんでくれるんです。それがすごく柔軟でいいんですよね。やっぱり、自分の意見が入ってくるって、命を宿しているようなものだから、すごく大事なんですよ。
楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
若かりしころの初恋の気持ちを思い出しに今作を観に来てほしいですね。みんな、違う初恋をしていると思うからこそ、“こういうことがあったな”と思い浮かべられるような作品にしたいと思っています!

舞台『殺し屋にくびったけ』
日程/3月26日(水)〜3月30日(日)
会場/東京・六行会ホール
料金/SS席¥14,000、S席¥9,000円、A席¥7,500(全席指定)
脚本・演出/安藤亮司
出演/小澤雄太 / 新田恵海 / 平松可奈子 / 石渡真修 / 水原ゆき / 輝山立 / 堺萌香 / 武井雷俊 / 宮ちあき / イ・シガン(友情出演) / 川村陽介 / 浦咲人 / 外山達也 / 上野理 / 西出将之 / 渡辺和貴 / えまおゆう
https://aruhi.org/korokubi
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styling_Jumbo(SPEEDWHEELS)
hair&make_山崎桂
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