2025.3.12

Chamomile
Leola

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Leolaが約6年ぶりとなるニューアルバム『Chamomile』をリリースした。これまでリリースされた「ただいまfeat.EXILE NESMITH」や「RED」(ロアッソ熊本公認応援ソング)など話題作のほか、新録曲2曲を含むラインナップで、なかでも注目はやはりアルバムタイトル曲でもある「Chamomile」。「逆境に耐える強さ」という花言葉どおり、傷つきながもたくましく歌い続けてきた「Leola」を象徴する曲になっており、本人も「アルバムを包み、世界観を伝える曲になった」とのこと。同時に「断ち切って前に進む」という想いも込められており、来年のデビュー10周年に向けた抱負やアルバム制作を通して感じた自身の変化を語ってくれたLeola。今作を聴けば、そんな彼女の彩り豊かな心象風景を色濃く感じられるだろう。


最初に2月からスタートしているアルバムのリリースイベントの感想を聞かせてもらえますか?


まだ東京と福岡の2ヵ所しか回っていないのですが(取材は2月末)、アルバム自体が6年ぶりのリリースだから、すごく久しぶりで。特に福岡は2〜3年ぶりなので、私もうれしくて直接会って伝えなきゃいけないことってたくさんあるなと実感しています。やっぱり時間が空けば空くほど、心の距離も離れてしまう。楽曲を通してつながってはいるけど、もっとも距離を縮める作業をしなきゃいけないと思いました。

でも、ファンの方もLeolaさんに久しぶりに会えてうれしいでしょうね。


リリースイベントを“久しぶりに再会して感動する場”としてとらえてくれている方もいらっしゃって、改めて私も感動しました。前回のアルバム以降にファンになってくださった方は「やっと会えました」って声を掛けてくれて、それもまたうれしくて。まだリリース前なので披露していない曲もあるのですが、楽しみはなるべく直前まで引っ張って期待していてもらおうかなと思っています。

では、新録曲の「Chamomile」と「My Other Side」はまだ披露されていない?


実はその2曲は、昨年の12月にやったワンマンライヴで披露していまして。「Chamomile」はライヴの1曲目にやったんですけど、アルバムのイメージをバチっと決めてくれる、まとめ役的な存在になったと感じました。というのも今作は1曲1曲にボリュームがあり、それぞれ違う景色で勝負した曲が集まっているので、少し個性がバラバラしている印象があったんです。なので新たに入れるこの曲はイントロみたいな短いものにしようと考えていたのですが、パパパパッと1曲分の歌詞がすぐに浮かんできて、これなら個性の強い曲たちを包めるなと。ここから始まるっていうプロローグのような存在になり、この曲が入ったことで、アルバムの世界観をしっかり伝えることができたと思っています。

「Chamomile」は勝手なイメージですけど、いわゆる“降りてきた曲”なのかなと思いました。それぐらい1音1音、一語一句がすべて過不足なく完璧で、初めて聴く曲なのにすごく自然に入ってきたんですよね。


ありがとうございます。でも本当にそんな感じで、1日でババッと出てきた曲なんですよ。

特に〈Chamomile Chamomile 君は好きじゃなかった〉〈Chamomile Chamomile私は好きだった〉のサビは、最小限の語彙で最大限を伝える説得力がある。Leolaさんの中で、この曲はどんな存在になっていますか?


今年はデビュー9周年を迎え、次の10周年を目指す年になるんですけど、今までの思い出を残しつつ、名残惜しい気持ちもありつつ、未来に向かっていく気持ちといいますか。一回、断ち切るものはちゃんと断ち切って次に進もうというような、そういう気持ちをあらわせた曲。ちょっと説明が難しいんですけど……。

カモミールの花言葉は「優しさ」のほかに「逆境に耐える強さ」という意味もあるそうですが、「断ち切っていく」という心境とリンクしますね。


カモミールってかわいらしくて健気なイメージの花だったので、花言葉は意外だったんですけど、実は踏まれれば踏まれるほど強く大きく育つ花らしいです。自分もそうありたいし、実際、私は挫折しそうになったり、壁にぶつかったときほど「負けないぞ」って踏ん張るタイプで。でもそうやって苦しみを知っているほうが誰かを癒したり、励ましたりできると思うんです。なのでこの曲がアルバムタイトルになっていることにもすごく意味があるし、アレンジもアナログ感のある素朴で温かい音色にこだわりました。アレンジしてくれたのは「夏のせい」からやってもらっているアレンジャーさんなのですが、ライヴも一緒にやっている方なので、生の温度感が伝わってくる仕上がりになっていて、私もすごく気に入っています。

その温度感にぐっと引き込まれる、まさにアルバムを象徴する曲ですね。あと、先ほどちらっと言いましたが「My Other Side」もインパクトがすごいです。かなり攻めた曲でドキッとしました。


この曲は実は3年くらい前にデモがありまして。そのときは「攻めるのは今じゃない」という感覚があったんです。でも、1年くらい前にアルバムに向けて曲を考えていたときに聴いたら「これ、いいじゃん」となって今回仕上げたんですけど、私自身、よくここまで吹っ切れたなと思っています(笑)。

〈ah嫌、イヤ、嫌〉って、ずっと繰り返されていて。


ちょっと言い過ぎかというくらい“イヤイヤ”歌ってますけど、結構本音(笑)。世の中にはイメージで決めつけられている人がいっぱいいると思うんですけど、私も「まじめでいい子だね」ってずっと言われてきまして。学生時代はそれをポジティブに感じていたんですけど、アーティスト活動を始めてからは"まじめ=つまらない"って言われているようで、すごくコンプレックスになっていたんです。でも、私をこういう性格に育ててくれた両親にも感謝しています。「私は私」という想いもあって「じゃあ、何を言われてもいいじゃん」って気持ちを全部〈ah嫌、イヤ、嫌〉にぶつけてしまおうかなと。なので〈あなたは 私の全てを知らない〉という歌詞も本音です。これまで思っていた激しい感情がそのまま出ちゃいました(笑)。

さらに最後の〈わがままとは違うのわかる?〉というところは歌声に感情がほとばしっていて、とても刺さりました。


あの部分は最後の最後、爆発したなっていう。このあとのフェイクも気持ちのままぶつけて終わろうと思って、ぶっ放した感じです(笑)。

ぶっ放されました(笑)。Leolaさんはソフトな歌唱も沁みますが、こういう強めの歌声もとてもハマりますね。


声質自体は強いほうですから。なので曲によっては気をつけていて「RED」は、あえて抑えて歌うようにしました。この曲のサビは歌い上げるメロディになっているので、そのまま強く歌うと暑苦しくなってしまう。押し付けている感じにもなるので、そうならないよう“添える”感覚といいますか。振り返ったときに「あの試合は良かったな」「これからも応援していこう」と、余韻みたいものを拾えるように意識しました。

「フレーフレー」って声を張り上げて応援しているというよりは、そっと後ろで見守っているような歌声だと思いました。


そうかもしれないです。私自身も応援しているけど、選手を応援している人の応援もしているような、そういう立ち位置で作った曲だと思います。

パンチラインの多い曲ですが、特に気に入っているフレーズを挙げるなら?


2ヵ所あって1個目は2番の〈汗にまみれた 努力が全部 報われるとは 限らないけど〉というところです。スポーツって数字で結果が出て、どんなに頑張っても勝敗がついてしまうじゃないですか。その中で戦っているってすごいことだと思ったので「報われなくてもやって良かった」って、次につながるような言葉を書きたかった。どんな試合も後悔がないといいなと。皆さんに向けた私自身の願いも込めたので自分でもこの歌詞は気に入っています。

2個目は?


〈綺麗事なんかじゃ 片付かない世界〉ですね。ここも1個目と少し似ていて、スポーツに限らずどんな世界でも、それこそまじめに生きていれば報われるってわけではないなと。それでも私は味方でいたいし、一緒に信じられるものがあるのはすごく素敵だなと思って書いた歌詞です。実は最初はもっときれいな言葉を書いていたのですが、もっと泥臭い表現にしたいと思って書き直しました。

今作のように応援する対象が明確にある曲って、いろいろ難しそうですね。


私はこの曲を書く前から「ロアッソ熊本」のアンバサダーをやらせてもらっているのですが、頑張っている人に「頑張って」しか言えないのがすごく悔しかったんです。でも私自身は何かスポーツで頑張った経験がないので、どういう言葉を掛けてもらったらうれしいのかどうしてもわからなくて。だけど、わからないなりに考えて出した答えが「頑張って」という言葉は歌詞で一個も使わないようにしようってことで。どんな言葉を引き出すか考えるのは難しかったけど、自分なりのこだわりを形にできたんじゃないかなと思っています。

アルバムはそんなLeolaさんのこだわりをぎゅっと凝縮させた濃厚な1枚。アルバムを通して感じたこと、見えてきたことはありますか?


デビューから今まで、自分が出会ってきた人たちと作り上げた作品になったなと思いました。というのも今回はプロデューサーを立てず、サウンドプロデュースはこれまで私の曲を編曲してくれた人にお願いしたり、「ただいま」はNESMITHさんと一緒に作ったり、私の活動の中でやってきたことの結果じゃないけど、1個1個の点がつながって線になったという印象があります。

ご自身が築いてきたものが形になったと。


そうです。デビュー当時は“Leola”を作ってくれた人がたくさんいて、私はそれに甘え、歌ったり歌詞を書くことだけに注力していたのですが、今はもっと深く大きく作品に携われるようになった。今回も、たとえばジャケット写真ひとつとっても、お願いしたいカメラマンさんやメイクさんに自分で声を掛けて、中にはプライベートでも仲のいい方もいます。そこには自分が9年かけて築いた関係性があり、そういう人たちとちゃんと活動をしてきたからこそ、このアルバムを作れたっていう手応えもある。Leolaってアーティストだけじゃなく本名の自分にもどんどん近づいている感覚もあって、私が作りたいものに心から賛同してくれる人が関わってくれた作品、というイメージが強いです。

4月にはデビュー9周年を迎えたLeolaさんの集大成ともいえる『Leola Live & Talk「Chase The Sun~9th Anniversary~」』が開催されます。どんな内容になりそうですか?


アルバム曲もこれまでリリースした人気曲もやりますが、がっつりワンマンライヴというよりはイベントっぽく、トークもしっかりやろうと思っていて。ゆる〜くゆる〜くっていうとあれですけど(笑)、お客さんとの距離も近いので、コミュニケーションを取りながら穏やかで温かい空間にしたいです。

ライヴのMCは得意なほうですか?


いや、得意じゃないけど、しゃべっちゃうほうです。出る前はある程度、言わなきゃいけないことを決めているのですが、観客の皆さんを前にするとつい余計なことまで話しちゃう。それで予定よりも大幅に時間がかかって、あとでいつも怒られています(笑)。ただ昨年、春と冬と2回、久しぶりにワンマンライヴをやって、ライヴ感みたいなものが戻ってきた感覚がありまして。今年はこうしてアルバムも出せましたし、次は自分が大好きな人と2マンライヴをするとか、来年の10周年に向けていろんなことにチャレンジしていけたらいいなと思っています。

9年を通して変化したこと、逆に変わらないことは?


「絶対にこれじゃなきゃダメ」みたいなものは、なくなった気がしますけど、デビュー当時のLeolaを失わないようにするってところは変わらない。そこをなくしてしまうと、楽曲制作でもブレてしまうので芯をしっかり守りながら、でも固定はせず広げていくって感じに変化してきたと思います。

「デビュー当時のLeola」を具体的にいうと?


自然に映える楽曲を作っていくということ。“空が似合う曲”みたいな世界観は今後もやっていきたいですし、プラス、感情に訴えかけるものをもっともっと歌っていきたい。今回のアルバムは特にそういう曲が多く、しかもどれも違う感情を表現しているので、その日の誰かの感情に寄り添える作品になったかなと。皆さんはきっとカモミールの花のようにいろんなことに耐えながら毎日過ごしていると思うので、そんな方たちが逆境から立ち上がって明日を過ごすパワーをこのアルバムでちょっとでも蓄えていただければ。そういう“お供”みたいな存在になれたらうれしいです。


ALBUM
『Chamomile』
NOW ON SALE
XNLD-10236 /¥2,200

EVENT information
Album『Chamomile』Release Event
3月16日(日) 14:00~:福岡県・HMV&BOOKS HAKATA 店内イベントスペース
3月23日(日) 14:00~:大阪府・タワーレコード梅田NU茶屋町店 店内イベントスペース
3月29日(土) 14:00~:熊本県・蔦屋書店熊本三年坂 1Fカリーノテラス
3月30日(日) 14:00~:東京都・カメイドクロック 1Fカメクロコート
【イベント内容】 ミニライブ+特典会(ポストカードお渡し会)

LIVE information
『Leola Live & Talk「Chase The Sun~9th Anniversary~」』
4/26(土) LDH kitchen THE TOKYO HANEDA(東京)
https://m.ldhgirls-m.jp/news/detail?news_id=49948&m=chasethesun

photography_河合克成(株式会社125)
styling_曽我一平
hair&make_藤原早代(CONTINUE)
text_若松正子

【衣装クレジット】
《Libra Cue》のパンツ¥5,940(アンティローザ)
その他・スタイリスト私物

【お問い合わせ先】
アンティローザ
03-6431-9431