塩野瑛久が訳あり夫婦役を演じるドラマ『五十嵐夫妻は偽装他人』が2025年1月からスタートする。今作は別居中に偶然同じ職場に転職してしまった夫婦が周囲に“偽装他人”を装いながら上司と部下として働くという物語で、原作は「U-NEXT Comic」配信の人気コミック。互いに素直になれないふたりの“もだもだ”感がストーリーの肝なのだが、この日までに2回の撮影を終えた塩野自身も現場ですり合わせながら、夫婦掛け合いの妙を作り上げているとのこと。インタビューではそんな今作の見どころや2024年の振り返り、2025年の抱負など、仕事の話からパーソナルな部分までクエスチョン。大きく飛躍した俳優・塩野瑛久の現在地を探ってみた。
このドラマは、U-NEXTさん発のコミック原作を初めて実写ドラマ化するという試みで「全社を挙げて力を入れたい」というU-NEXTさん側の想いも聞いていまして。僕自身、原作を読んでみて「こういった作品は、今後できる回数が少なくなるかもしれない」と思い、ぜひやらせてくださいとお受けしました。
僕が演じる夫役の五十嵐直人は、ビジュアル的にもカッコ良くて、いかにも仕事ができそうな男性キャラですし、物語も王道のラブコメ路線のエピソードが散りばめられているんです。でも最近はそういうストレートな恋愛モノを演じる機会がそこまで多くなくて。自分の年齢的にも今後はどんどん減っていくのかなと思っていたので、だからこそやる意味があるのかなと。しかもこのドラマは王道でありつつ、夫婦が社内で“偽装他人”を装うという設定がおもしろいんです。ふたりがどんな結末を迎えるのかというところも含め、実写ならではの作品にできたらいいなと思っています。
どんな役でも僕はどこかしらに共通点や共感する部分があるのですが、今回はなかなか難しかったです。直人の細かい部分まで気にする性格や、仕事も家のことも完璧にやろうとするところはなんとなくわかるけど、恋愛のこと、ましてや夫婦のことになると「そんなことまで言わなくても……」というところが多々ありまして(笑)。台本を読んだとき、これを現実に落としこむのは難しいかもと思いました。でもそんな疑問を監督にぶつけつつ、本読みを経て、実際に現場に入ってみると「これはお互いに役をすり合わせて初めて完成するものだな」と。まだ2日しか撮影していないですが、時間が経つごとにその感覚は強くなっています。
そうです。基本的に台本は、互いのちょっとした言い方や些細なケンカですれ違っている流れが多い。つまり、そのとき相手に伝える言葉、そして、それを言うシチュエーションとタイミングが重要で、会話劇ならではの細かいやりとりが描かれています。なので、生身の演者さんのリアクションがすごく大事。相手役の俳優さんと対峙し、その言い方を踏まえたうえで作っていかないといけないなと思いました。
今までも現場ですり合わせていくことはありましたが、ここまで全体を通してやっていくことはなかったかもしれないです。今回は主人公夫婦のすれ違いが物語のメインになっていますから、相手を傷つけるような言葉を放つときは特にすり合わせが必要だなと感じています。
前回のドラマでは優愛ちゃんが芸能事務所の社長で、僕がそこに所属するタレントという設定だったのですが、当時から彼女は現場のスタッフさんやほかのキャストさんに満遍なく声を掛けられていて。本人は「おしゃべりだから」と言っていたけど、コミュケーションを絶やさないところは今回も同じ。しかもそれをフラットにできる方で、6年ぶりに会ったら、そのナチュラルさがさらに増しているなと改めて感じました。
楽しいですし、台本を読んだ時点で優愛ちゃんと言い争っている絵が浮かびやすかった。というのも『星屑リベンジャーズ』のときは(新川が)業界の理不尽に立ち向かっていく意志の強さを感じさせる役どころで、今回もついついキツく当たって衝突する役だから、想像しやすかったといいますか。彼女が直人に強気で言い放つ感じはすぐに脳内再生できました。
しょっちゅう“もだもだ”していて、外に出たい、経験に時間を費やしたいと思うんですけど、いつも行動が伴わないんです。休みの日も時間を気にせず起きたいから、結局遅くまで寝てしまって。部屋の片づけをして、ご飯を食べて、ちょっと自分の好きなアニメや映画を観て過ごしたら、あっという間に1日が終わってしまう。もっとアクティブに動いて、いろんなことをしたいけど、なかなかできないので“もだもだ”しています。
どちらかというと、終わったときに“もだもだ”します。「今日も何もせず終わってしまった……」という“もだもだ”で、じゃあ、もっと前の段階で動けばいいのに、そのときは何もせず気付いたら外が暗くなっていて「あぁ、もういいや」って、そんなことの繰り返しです(笑)。
前半は王道のラブコメとして進んでいきますが、“偽装他人”という設定が軸にあり、少しベクトルが違う作品になっているので、その辺りを楽しんでもらえたらと思います。後半は夫婦の周りの人たちの人間模様も浮き彫りになり、新たな展開になっていくので、そこにも注目していただきたいです。あと全体を通して結婚観についてもフィーチャーしているのですが、視聴者の方に「気持ちがわかる」と共感してもらえるかどうかは、正直わからないところがあって。いろいろな捉え方ができる作品だから、意外性や違いを楽しみながら観ていただけたらうれしいです。
DRAMA information
ドラマNEXT『五十嵐夫妻は偽装他人』
2025年1月8日(水)スタート 毎週水曜深夜24時30分~25時
動画配信サービス「U-NEXT」で1月1日(水)夜9時より、各話1週間独占先行配信
出演/新川優愛、塩野瑛久、兵頭功海、田辺桃子、浜中文一 ほか
photography_野呂知功(TRIVAL)
styling_能城匠
hair&make_時田ユースケ(ECLAT)
text_若松正子
【衣装クレジット】
《NaNo Art》のジャケット¥79,200、パンツ¥74,800(ともにJOYEUX)
その他・スタイリスト私物
【お問い合わせ先】
JOYEUX
03-4361-4464
オファーを受けたときは、今作のどんな部分に惹かれましたか?
このドラマは、U-NEXTさん発のコミック原作を初めて実写ドラマ化するという試みで「全社を挙げて力を入れたい」というU-NEXTさん側の想いも聞いていまして。僕自身、原作を読んでみて「こういった作品は、今後できる回数が少なくなるかもしれない」と思い、ぜひやらせてくださいとお受けしました。
「こういった作品は、今後できる回数が少なくなるかもしれない」と思ったのはなぜでしょうか?
僕が演じる夫役の五十嵐直人は、ビジュアル的にもカッコ良くて、いかにも仕事ができそうな男性キャラですし、物語も王道のラブコメ路線のエピソードが散りばめられているんです。でも最近はそういうストレートな恋愛モノを演じる機会がそこまで多くなくて。自分の年齢的にも今後はどんどん減っていくのかなと思っていたので、だからこそやる意味があるのかなと。しかもこのドラマは王道でありつつ、夫婦が社内で“偽装他人”を装うという設定がおもしろいんです。ふたりがどんな結末を迎えるのかというところも含め、実写ならではの作品にできたらいいなと思っています。
五十嵐直人とご自身で似ている部分はありますか?
どんな役でも僕はどこかしらに共通点や共感する部分があるのですが、今回はなかなか難しかったです。直人の細かい部分まで気にする性格や、仕事も家のことも完璧にやろうとするところはなんとなくわかるけど、恋愛のこと、ましてや夫婦のことになると「そんなことまで言わなくても……」というところが多々ありまして(笑)。台本を読んだとき、これを現実に落としこむのは難しいかもと思いました。でもそんな疑問を監督にぶつけつつ、本読みを経て、実際に現場に入ってみると「これはお互いに役をすり合わせて初めて完成するものだな」と。まだ2日しか撮影していないですが、時間が経つごとにその感覚は強くなっています。
実際に芝居をすることで、ふたりの掛け合いにリアリティが出てくると。
そうです。基本的に台本は、互いのちょっとした言い方や些細なケンカですれ違っている流れが多い。つまり、そのとき相手に伝える言葉、そして、それを言うシチュエーションとタイミングが重要で、会話劇ならではの細かいやりとりが描かれています。なので、生身の演者さんのリアクションがすごく大事。相手役の俳優さんと対峙し、その言い方を踏まえたうえで作っていかないといけないなと思いました。
そういった役作りは、これまでの作品とは違いますか?
今までも現場ですり合わせていくことはありましたが、ここまで全体を通してやっていくことはなかったかもしれないです。今回は主人公夫婦のすれ違いが物語のメインになっていますから、相手を傷つけるような言葉を放つときは特にすり合わせが必要だなと感じています。
相手役=妻・真尋を演じるのは新川優愛さん。新川さんとは6年前にドラマ『星屑リベンジャーズ』でも共演されていますが、久しぶりに一緒にお芝居をしてみていかがですか?
前回のドラマでは優愛ちゃんが芸能事務所の社長で、僕がそこに所属するタレントという設定だったのですが、当時から彼女は現場のスタッフさんやほかのキャストさんに満遍なく声を掛けられていて。本人は「おしゃべりだから」と言っていたけど、コミュケーションを絶やさないところは今回も同じ。しかもそれをフラットにできる方で、6年ぶりに会ったら、そのナチュラルさがさらに増しているなと改めて感じました。
そんな新川さんとの“夫婦のやりとり”はどうですか?
楽しいですし、台本を読んだ時点で優愛ちゃんと言い争っている絵が浮かびやすかった。というのも『星屑リベンジャーズ』のときは(新川が)業界の理不尽に立ち向かっていく意志の強さを感じさせる役どころで、今回もついついキツく当たって衝突する役だから、想像しやすかったといいますか。彼女が直人に強気で言い放つ感じはすぐに脳内再生できました。
ちなみに今作は、本心とは裏腹の言動、行動をして煮え切らない夫婦の関係を“もだもだ”すると表現しています。塩野さんご自身は“もだもだ”することってありますか?
しょっちゅう“もだもだ”していて、外に出たい、経験に時間を費やしたいと思うんですけど、いつも行動が伴わないんです。休みの日も時間を気にせず起きたいから、結局遅くまで寝てしまって。部屋の片づけをして、ご飯を食べて、ちょっと自分の好きなアニメや映画を観て過ごしたら、あっという間に1日が終わってしまう。もっとアクティブに動いて、いろんなことをしたいけど、なかなかできないので“もだもだ”しています。
“もだもだ”しているうちにオフが終わっちゃうと。
どちらかというと、終わったときに“もだもだ”します。「今日も何もせず終わってしまった……」という“もだもだ”で、じゃあ、もっと前の段階で動けばいいのに、そのときは何もせず気付いたら外が暗くなっていて「あぁ、もういいや」って、そんなことの繰り返しです(笑)。
わかる気がします(笑)。このドラマも想いと行動が一致しない夫婦のジレンマがフックになると思うのですが、どんなところに注目して観てほしいですか?
前半は王道のラブコメとして進んでいきますが、“偽装他人”という設定が軸にあり、少しベクトルが違う作品になっているので、その辺りを楽しんでもらえたらと思います。後半は夫婦の周りの人たちの人間模様も浮き彫りになり、新たな展開になっていくので、そこにも注目していただきたいです。あと全体を通して結婚観についてもフィーチャーしているのですが、視聴者の方に「気持ちがわかる」と共感してもらえるかどうかは、正直わからないところがあって。いろいろな捉え方ができる作品だから、意外性や違いを楽しみながら観ていただけたらうれしいです。
©︎「五十嵐夫妻は偽装他人」製作委員会
DRAMA information
ドラマNEXT『五十嵐夫妻は偽装他人』
2025年1月8日(水)スタート 毎週水曜深夜24時30分~25時
動画配信サービス「U-NEXT」で1月1日(水)夜9時より、各話1週間独占先行配信
出演/新川優愛、塩野瑛久、兵頭功海、田辺桃子、浜中文一 ほか
photography_野呂知功(TRIVAL)
styling_能城匠
hair&make_時田ユースケ(ECLAT)
text_若松正子
【衣装クレジット】
《NaNo Art》のジャケット¥79,200、パンツ¥74,800(ともにJOYEUX)
その他・スタイリスト私物
【お問い合わせ先】
JOYEUX
03-4361-4464
この記事の続きは劇団EXILE FCに
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