2024.10.11

無能の鷹
塩野瑛久

  • 劇団EXILE FC対象
  • 一部フリー
超ロイヤルなカリスマ=帝(みかど)から一転、10月11日(金)スタートの金曜ナイトドラマ『無能の鷹』では存在感ゼロの弱気なサラリーマンを演じている塩野瑛久。だが、意外にも本人の中では共通点の多い役で「いろんなものを俯瞰で見てしまう」「人前で緊張して上手く話せない」といったちょっと“陰キャ”な経験は共感できたとのこと。そんな面を「見出してもらった」とうれしそうに話す塩野に役作りで意識していることや現場の雰囲気、主人公を演じる菜々緒さんとのやりとりなど撮影エピソードを語ってもらった。


金曜ナイトドラマ『無能の鷹』は“有能そうに見えるのに無能すぎる新入社員”鷹野ツメ子を主人公としたお仕事コメディ。塩野さんはそんな鷹野とタッグを組む超弱気なサラリーマン鶸田道人(ひわだみちと)を演じていますが、キャラの振り幅が大きいといいますか。緊張するとお腹が痛くなってトイレにこもっちゃう“ヘタレキャラ”鶸田役と、高貴な一条天皇役とのギャップがすごいと思ったのですが、塩野さん自身オファーをもらったときはどう思いましたか?


作品に入るのをずっと楽しみにしていました。作品に入るまでに続々と届く台本がおもしろくて早く現場に行きたいなとずっと思っていました。

どんなところが楽しみだったんですか?


感覚的なものなんですけど、皆さんの顔ぶれを見てこれはいいチームになるなと。スタッフさんやキャストの方々を含め、きっと楽しい撮影現場になるんだろうなと感じました。あと単純にストーリーもそれぞれの人物像も、メチャクチャおもしろいので。鶸田という自分の役もこの作品の中ではある意味地味といいますか。クセみたいなものを残せないキャラクターですが、物語のストーリーテラーみたいな役まわりで入るところが自分としては今までにはなかった役柄なので。そこでの立ち回りやポジションを含め、自分にとって初の試みだったのですごく楽しみだったんです。

鶸田は観る側と目の前の出来事を唯一共有していく語り部のような存在。ある意味、“影の主人公”のような立ち位置ですね。


そうなんです。僕もそういった印象を受けて今まで僕がやってきた役とは全然違うので、見た目も含めてきっと違うものになるだろうなと。それが新鮮でしたし、何より僕のそういった面を見出してくれてやらせてみようと思っていただけたことがうれしかった。そういう意味でもすごくワクワクしていました。

確かにこれまで塩野さんが演じてきたのはすごく悪人だったり、すごく不良だったり、時には変態だったり(笑)、クセの強い役ばかりでした。なのに今回は先輩社員に「全然印象に残らない顔」と言われるような存在感の薄い役。「激よわのコミュ力」とも言われていましたが共感できる部分はありましたか?


いや、むしろ共感できる部分ばかりです。学生のころからずっと僕は“陽”なほうではなかったですし……。


そういえば以前、ご自身で自分を“陰キャ”とおっしゃっていました。


そうなんです(笑)、陰キャなのでそういう部分は役と合っていますし、常に俯瞰して周りを見ているところもすごくわかります。あと特段おもしろいことができるわけでもない、人前に出て緊張して上手く言葉が出てこないなど、僕の根本もたぶんそっちで実際に経験してきたことだから全然自分とかけ離れた役柄ではないんです。

ドラマ制作の皆さんも私たち一般の人が抱いている塩野さんのキラキラしたイメージとは違う部分を感じ取っていたんですかね?


実はそうなんですよ。今作が始まる前にプロデューサーの貴島(彩理)さんと話す機会がありまして。僕は漫画やアニメが好きなんですけど、貴島さんもお好きらしく好みの作品が一緒だったり、共通点がいろいろあってすごく話が合ったんです。そのときに僕が周りを巻き込んで“ウェ〜イ”とかやるようなタイプではないこともたぶん感じてもらえたと思っていて。もしかしたら、そういったところに“鶸田”を見出してくれたのかもしれないです。

塩野さんだったら鶸田のキャラクターを引き出してくれるなと。


そう思っていただけていたらうれしいです。同時にこれまでの自分のイメージと違うもの、新しいものをお見せできるなという意味でも演じるのが楽しみな作品でした。

先ほど「いいチームになると思った」とおっしゃっていましたが、現場の雰囲気はいかがですか?


チームワークもとても良くて、やっぱり思っていた以上の素晴らしいチームでした。鶸田の同僚の烏森皇子役を演じている永田崇人くんが「この作品のキャストは“いい人オーディション”でもあったの?」って言っていたのですが、本当にそれくらい皆さんいい方ばかりでスタッフさんとの雰囲気もすごくいいんです。ドラマの撮影って時間がない中でやっていることが多いから現場がギスギスすることもあったりしますが、この作品に関してはそういう瞬間がない。だから毎回撮影が楽しいです。

鶸田は菜々緒さん演じる鷹野の相方的なポジションでやりとりも多いですが、おふたりの雰囲気はどんな感じですか?


いろいろ話したりしていますが、今回ご一緒してわかったのは菜々緒さんがチャレンジャーな人だということ。というのも鷹野は自由でマイペースなキャラクターですが、そのぶんいろいろ制限の多い役だと思っていて。


「有能オーラが半端ないのに圧倒的無能なヒロイン」ですから。


だから常にエレガントでいなきゃいけないですし、“デキる人”オーラをまといながら何かに挑戦しなきゃいけない。一方でセリフもそこまで多くはないので、台本の中に書かれていることをやればそれはそれで成立してしまう役だと思うんです。でも、菜々緒さん自身がすごくチャレンジャーな方なので「鷹野だったらこれはありだな」といろいろ探りながら演じていらして、そのたびに僕も鶸田として反応していくのがすごく楽しい。そんな菜々緒さんに対して逆に僕から「これにこれをプラスしたら、おもしろくないですか?」と提案すると「いいね。それやってみよう」とすぐ言ってくださるのですごくフラットにやれています。現場全体の空気も本当に和やかなので、いいバディ感ができているんだと思います。

鶸田を演じるうえで意識していることは?


鶸田は常に視聴者目線であり、どこかちょっと冷めている部分を持ち合わせていないといけない。つまり基本“受け”の役なので、自分から何かしていくとどんどんバランスが崩れてしまう。ほかの役は皆さん個性豊かなのでいろいろチャレンジされていますが、そこで僕までやりすぎてしまうとまとまらなくなってしまうので。だから自分にとってはある意味我慢の作品。そこは意識している部分です。

“受け”の芝居はやはり難しいんですか?


いえ、全然。むしろ受けのお芝居のほうが僕のスタイルだと思います。でも(受けも攻めも)どっちもできるようにはしていて、たとえば『HiGH&LOW』みたいな集団がバーと集まって何かしなきゃいけないという状況では、その中で埋もれないよう違う引き出しを持っていきますし、そうじゃないもの–––会話ベースだったり感情ベースの作品では“受け手”としての芝居をしていく。そのバリエーションみたいなものは、これまでいろいろな役を演じてきたおかげで出せるようになってきたかなと思います。

では、今作でもまた役者としての引き出しがひとつ増えましたか?


そうですね。先ほども言いましたが、これまでにないタイプの役ですから僕自身やっていておもしろいですし、観ている方にもまた違った一面を感じていただけたらいいなと思っています。


DRAMA information
『無能の鷹』
10月11日(金)スタート
【毎週金曜】よる11:15〜深夜0:15 テレビ朝日系24局(※一部地域を除く)
出演/菜々緒、塩野瑛久、工藤阿須加、さとうほなみ、安藤玉恵、土居志央梨、宮尾俊太郎、永田崇人、高橋克実、井浦新ほか
原作/はんざき朝未『無能の鷹』(講談社「Kiss」連載)
脚本/根本ノンジ
音楽/鈴木真人
演出/村尾嘉昭、棚澤孝義、高橋由妃
エグゼクティブプロデューサー/内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー/貴島彩理(テレビ朝日)、本郷達也(MMJ)
制作著作/テレビ朝日、MMJ
https://www.tv-asahi.co.jp/muno_no_taka/

photography_興梠真穂
styling_能城匠
hair&make_下川真矢(BERYL)
text_若松正子

【衣装クレジット】
《FACTOTUM》のジャケット¥73,700、《N.CYCLE FACTORY》のカットソー¥16,500(ともにSian PR)
《ablankpage.》のパンツ

【お問い合わせ先】
Sian PR
03-6662-5525

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