2024.10.3

ふれる。
坂東龍汰×前田拳太郎

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映画『ふれる。』が10月4日(金)より全国公開となる。本作は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2013年)、『心が叫びたがってるんだ。』(2015年)、『空の青さを知る人よ』(2019年)と“心揺さぶる”青春三部作を手がけた監督・長井龍雪氏、脚本・岡田麿里氏、キャラクターデザイン・総作画監督・田中将賀氏の3人が贈る、オリジナル長編アニメーション映画の最新作だ。今回、祖父江諒役の坂東龍汰さんと井ノ原優太役の前田拳太郎の対談が実現! 映画の見どころやアフレコ時のエピソードなどについてたっぷりと語ってもらった。

前田さんは以前から声優のお仕事がしたいと言っていましたが、ついに映画『ふれる。』で実現しましたね! オーディションでの手応えはありましたか?


前田拳太郎(以下前田):念願の声優のお仕事だったので、“このオーディションは絶対に受かるしかない!”と思って受けました。自信があったわけではないですが、受かりたいという気持ちは誰よりも強かったので、ものすごく気合いが入っていました。

緊張はしていましたか?


前田:胃が痛くなるくらい、緊張しました(笑)。不安もあったのですが、実際にオーディションに行き、台本を持って、マイクの前で声を出した瞬間、すごく楽しくて! 練習をしてきた成果は出せたと思うので後悔はなかったのですが、僕ではない人が選ばれたとしたら、嫉妬で狂っていたと思います(笑)。

坂東龍汰(以下坂東):狂わなくて良かった!(笑)

前田:受かって良かったです(笑)。

坂東さんはこのオーディションに、もともと地元に帰省する予定をキャンセルして向かったとお聞きしました。


坂東:そうなんです。いつかアニメのお仕事がしたいと思っていたので、受かる確証はもちろんなかったですがキャンセルして挑みました。そしたら、オーディションが10分くらいでサラッと終わってしまい手応えを感じる暇もなく、一瞬キャンセルしたことを後悔しました(笑)。

前田:本当にすぐ終わりましたよね?

坂東:そうなんだよね。あっという間すぎて不安でした。なので、受かったと聞いたときは、すごくうれしかったです。

実際に声優のお仕事をしてみて、いかがでしたか?


前田:すごく楽しかったです! ずっと憧れていたお仕事だったこともありますし、いつもとは違う環境でのお芝居ということで、新しい発見がたくさんありました。これまでは全身を使って表現していたものを、今回は声だけで表現しなくてはいけないので、自分が思っているよりも上手くいかないことが多くて……。家でも自分の声を録音して聞いていたりはしていたのですが、思ったより伝わらないなと思う瞬間が多かったんです。それをどうやって突き詰めていくかという作業も、今までにないものだったので、すごくいい勉強になりました。


坂東:僕も新しい発見がたくさんありました。役に100%愛情を注ぎ、誠実に、謙虚に役を愛して演じることに変わりはないのですが、いつものお芝居だと、気持ちやセリフと一緒に勝手に身体が動きだしたりすることも表現のひとつなので。アフレコのときは、ペラッとページをめくる音も出してはいけないので、本当に声だけの勝負でした。

前田:僕もページをめくる音について何度も言われました!

坂東:そうそう! だからセリフをページがめくる音で遮らないように台本に次のページのセリフを書き加えたり、静かにめくる練習をしたりして、すごく新鮮でしたね。あとは、一度通しで演じたときに、修正点を教えてもらい、台本に書き込んでいくのですが、その直後にまたアフレコが始まるので「あぁ! 追いつかない!」とパニックになっちゃったりもして……。

前田:僕もなりました! その修正点を意識しているとお芝居が追い付かないし、直す時間もほとんどないので、声優さんのすごさをものすごく感じました。

次第に慣れていくものでしたか?


前田:そうですね。やっていくうちにどんどん慣れていったので、安心しました。

坂東:情景描写とキャラクターの動き、秒数などもしっかり描かれている台本で分厚いのが2冊もあったんです。最初は「これは本当に終わるのか……⁉」と驚愕したのですが、やっていくうちにいいペースでできるようになりました。

そんな戸惑いを感じさせない完成になっていましたし、劇中のおふたりの掛け合いもすごく印象的でした。


坂東:僕たちはもう親友ですから! ……言い過ぎた⁉(笑)

前田:(笑) 仲良しです!

坂東:マエケン(前田)が演じた優太はキャラクターも小柄なので、声優さんも小さな子が来ると想像していたら、身長がメチャクチャ高いマエケンが登場してビックリしました(笑)。この子から、一体どうやって優太の声が出てくるんだろうって不思議だったんです。声はキャストにすごくフィットしているのに、隣をみたら巨大なマエケンがいるので、最初は違和感だらけで(笑)。

前田:(笑) 優太は、いつもとは違う高い声で演じていきました。それもあって、普段のお芝居ではできない役だなと思っていて。

坂東:やっぱり、こうやって姿かたちが見えない声だけのお芝居だからこそできるのはおもしろいですよね。それもあって、いい意味で気付かれたくないよね。僕たちの顔を思い浮かべずに観てもらいたいな!

前田:わかります。そうなってくれたらうれしいですよね。

前田さんは坂東さんと、坂東さんが演じた諒はどんなところがリンクすると思いましたか?


前田:諒が持っている、包み込んでくれる優しさは、龍汰くんからも感じました。僕は人見知りなところがあるのですが、龍汰くんがいたから……。

坂東:(遮って)馴染めた⁉

前田:すごい前のめり……!(笑) 馴染めました! 初日からたくさん話しかけてくれてすごく助かったんです。もしかしたら、この環境を作るためにこうやって明るく演じてくれたのかなって思うと、より“諒っぽいな”って思います。

それは意識的だったんですか?


坂東:諒のキャラクターは暗くはないので、自分の気持ちもおのずと明るくなっていたのはあるかもしれないですね。あとは、マエケンとは初対面でしたが、僕と秋役の永瀬廉はもともと知り合いだったこともあり、マエケンの立場に立ったら、最年少ですし、不安だろうなと思ったので積極的に声をかけていきました。幼馴染みの役ですしね。

3人でアフレコをされていたんですか?


坂東:そうですね。それもあって、時間が経つにつれてお互いの成長を感じていきました。

前田:役も、ケンカをしたり、どんどん仲が深まったりしていたので、アフレコを通してさらに距離が縮まっていったんです。

坂東:隣でお芝居をしている人の熱って、すごく強く感じるので、相乗効果で現場が熱くなるんです。だからこそ、マエケンには助けられましたし、みんなで声を録っているからこそ、会話に立体感が生まれた気がします。これが1人1人のアフレコだったら、また違ったものになった気がしていて。

前田:僕もそう思います。すごくいい経験になりました。

今作は、“ふれる”というキャラクターを通して、3人の幼馴染みが成長するお話です。改めて感じたことはどんなことでしたか?


坂東:今作では、言葉を伝えることの大切さがしっかりと描かれているんです。僕自身も伝えることに関して、それなりにできるようになっているつもりではあるのですが、まだまだ足りていないなと思う瞬間があるんですよね。僕は今作に触れて、学生時代によく喧嘩をしていた友達について思い出したんです。クラスメイトは9人しかいないのに、何であんなに仲が悪かったんだろうなと考えたり……。

前田:9人しかいない中で誰かと仲が悪いのは大変ですね⁉

坂東:小1から高3までずっと仲が悪かったのよ。でも、今は会ったら普通に話すし、思い返せば、言葉が足りなかったんだよね。あのとき、もっと伝える大切さを知っていたら、もっと充実した学生時代を過ごせたのかなとも思いましたね。


前田:僕にも20年以上一緒にいる幼馴染みがいるのですが、ケンカすることもありましたし、大人になるにつれて言えたことが言えなくなってきちゃったりすることもあるんです。だからこそ、ちゃんと言葉で伝えることって大事だと思いましたし、SNS社会の今、ちゃんと活用しつつ、大事なことは実際に会って、目を見て伝えることを大事にしようと改めて思いました。

坂東:人と関わるうえで大事なことがぎっしりと詰まっているので、ぜひ見てもらいたいですね。

前田:音楽も、映像もすごくきれいですし、どんな世代にも響くと思うので、楽しみにしていてください!

では、『ふれる。』にかけて、触り心地のいいものを教えてください。


前田:何だろう~⁉ 最近は筋トレをしているので、上腕二頭筋を触っちゃいます!

坂東:え~⁉ そうなの⁉

前田:ついつい触っちゃうんですよね。硬いと安心します(笑)。

坂東:じゃあ僕は……(悩む)、これは『EXILE TRIBE MAGAZINE』の取材だから、サウナに行って、汗をかいた身体を触っているときに……。

前田:別に『EXILE TRIBE MAGAZINE』に寄せなくていいんですよ⁉(笑)

坂東:LDHの方々は筋トレをしている印象があるから(笑)。

前田:それは、合っています(笑)。

坂東:ひとつありました! サウナで水風呂に入ったときに、手を胸の前でクロスさせて脇の下に手を入れると、全身キンキンに冷えたときも脇の下だけ温かくて天国のような気持ちになるんです!

前田:へぇ~! やってみます!

坂東:守られているような気持ちになるから、やってみて! これをすると、すごく長い時間、水風呂に入れるよ。そのあと、脇の下から手を出して、冷水をぎゅっと握る感覚がすごく気持ちいいんです。ぜひやってみてください!

では最後に、読者にメッセージをお願いします!


坂東:友情や絆がしっかりと描かれた作品になっているので、共感できるところがすごくあると思います。

前田:人間関係について悩んだことって、誰もがあると思いますし、この登場人物の中に自分とリンクするキャラクターが必ずいるはずです。世代を問わず、感じるものがあると思うので、じっくりと観てもらえたらうれしいです!


MOVIE information
『ふれる。』
10月4日(金)より、全国ロードショー
出演/永瀬 廉 坂東龍汰 前田拳太郎
白石晴香 石見舞菜香
皆川猿時 津田健次郎 ほか
配給/東宝 アニプレックス
製作幹事/アニプレックス STORY inc.
製作/「ふれる。」製作委員会
©︎2024 FURERU PROJECT

photography_野呂知功(TRIVAL)
styling_李靖華[坂東龍汰], 石橋修一[前田拳太郎]
hair&make_後藤泰(olt)[坂東龍汰], 佐藤健行(HAPP'S.)[前田拳太郎]
text_吉田可奈